劇場公開日 2009年11月14日

ゼロの焦点のレビュー・感想・評価

全42件中、1~20件目を表示

1.5☆☆ いや〜酷い!本当に酷い! BSで放送されたのを録画していたの...

2024年3月13日
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☆☆

いや〜酷い!本当に酷い!
BSで放送されたのを録画していたので、久しぶりに観たけれど。余りの酷さに、開始20分辺りから携帯でポコポコを遊びながら、ながら見してしまった。

劇場鑑賞時にも、いきなり画面にでっかく【dentsu】と映る辺りから「あら〜?」って雰囲気は確かにありましたけどね〜。

松本清張生誕100年記念と銘打った作品ですが。清張本人がもしも生きていて、劇場で観たならば。怒りに💢打ち震えて、そのまま心臓発作を起こして死んでしまったんじゃないか?…って思ってしまう。

何しろ清張本人は、とにかく出たがり気質なところが有って。自身の原作映画には2本。テレビでの原作ドラマ化には12本も出演していたくらいですから。
(Wikipediaを参照しました。)

そもそも、原作を大幅に改定していて。まあその辺りはまだ良いとして。原作及び、清張推理小説の重要な要素である〝 戦後のドサクサ 〟から派生する、人間の業の深さや社会の闇の深さ…それが《やむを得ない殺人》を生んでしまうに至る【心の弱さ】、 、、等。

数多ある推理小説が、単なるアリバイ工作に特化していたりする内容だったりするのとは意を異なり。《戦争》とゆう、人も社会もメチャメチャにしてしまった現実に対して、必死に抗う犯人側の【人間の弱さ】に由来する心理描写が、きちんと描かれているからこそ。犯人でありながら、そこにはしっかりとした人間味が宿しているのに、、、

そんな小説の中身の奥底には全く迫ろうとはせず。ただひたすらに小説の表面をなぞるだけ…って言うのが…

兎にも角にも中谷美紀の怪演が目立ち過ぎていて、もう何をかいわんや…状態。
もう本人はひたすらに頑張っていましたけどね〜
演出は勿論の事ながら、とにかく脚本が杜撰過ぎて本当にお粗末の一言。

最近は持ち直して来たけれども。この頃の犬童一心監督は、何を撮っても酷かったなあ〜…と言った印象。
もう、何処をどう切り取って観てもミステリーとは言えなくて。所詮は〝 質の低いコメディー 〟にか見えないんだもの。

特に酷かったのが♬ オンリー・ユー ♬を始めとする音楽の使い方。
本編での最初の使い方はまだしも。クライマックスでの♬ オンリー・ユー ♬の使い方には膝が砕け散るかと思ってしまったくらいに酷かった。
そこに輪を掛けた、エンドクレジットでの中島みゆきの歌の意味の無さで。完全にこの映画には(当社比)クソ映画確定。
劇場で観ていた時に椅子から崩れ落ちそうになったのを思い出したわ〜。

あ〜やっと終わった。
さあ!ポコポコ面白いから専念しよう

2009年 11月15日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ/スクリーン3

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松井の天井直撃ホームラン

3.0手塚マンガを思い出させる

2023年4月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

萌える

手塚治虫のマンガで、戦後の時代考証入ったもの、
「アドルフに告ぐ」「奇子」
をよく読んでいたが、その辺りとリンクする事態背景に何だか懐かしさやノスタルジーを感じた。
「ばるぼら」は違ったかな❓

常に付き纏う「敗戦国」故の後ろめたさと、GHQの横暴。振り回された市井の人々の中には、他人には言えない事が幾つもあり、それでも生きてきた、生き延びてきた人たちには、十人十色の歴史がある。
女子大出ても売春しないといけないとか、
学校行ってないから字も読めないとか。

そんな人が再会した時に起こる化学反応は、戦後に温温と産まれてきた人には考えの及ばない事が起こるのだろう。

それぞれのキャラを、振り返りながら絡めていく流れから、3人(憲一、佐知子、久子)の心情が分かり易く、逆に禎子が一番謎なキャラになっていく流れが、不思議だった。

一人、室田社長に関しては、ラストのあの行動に至る動機が不可解で、もう少しキャラ背景が欲しかった。推測は出来るが少し突飛だった。

当時はかなり力入れた作品なんだろうが、
今観ると、2時間ドラマだなー、そこそこ面白いかなー、CGの質❗️💢、とか雑念が多い。

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クリストフ

1.0期待外れ

2023年2月27日
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みなくてよかった。犬童一心さんだからと思ってみてみたけど、がっかり。ヒロインて大事ですね。広末涼子の演技を初めてみたけど、表情が硬いなー。表情筋鍛えた方が良さそう。霧の旗みたいなもの期待した私が間違いだった…。木村多江は良かった。彼女に星を一つ。

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たまちゃん

3.5悲しい歴史の産物

2023年2月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

広末涼子扮する鵜原禎子は、西島秀俊扮する10歳年上の憲一と初めて会った。憲一はあまり自分の事を話さなかった。結婚一週間後、憲一は仕事の引き継ぎで金沢へ向かった。禎子が憲一を見たのはこれが最後だった。禎子は金沢へ向かった。

新婚早々、新妻がひとりにされるとはお気の毒に。人が話した英語がスラングかどうかが分かる英語力がポイント。何回か観ていたから途中で思い出したよ。悲しい歴史の産物だね。

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重

4.0Only you♪

2023年2月24日
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最後のクライマックス、振りしきる雪の中、流れる『Only you〜♪』素晴らしくて心が震えた。今夜2度目だが、 Onlyにダブルミーニングがあった、とわかる。
少し冗長に感じる部分もあり、もう少し全体にテンポを上げて欲しい気もするが、優れた作品だと思う。

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あじゃこ

2.5松本清張は戦争を忘れさせない

2021年6月3日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

20231205に、再度鑑賞。2021年に観ていたことを全く覚えて居なかった。

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あっちゃんのパパと

4.5波のように襲う戦争のPTSD

2020年9月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

室田窯業の社長のまさかの自殺、
思わず声が出そうになる。

戦後の灰塵から立ち上がって九州から裸一貫金沢に移り住み、一代で財を成した叩き上げの苦労人=室田社長は、実はすべてを知っていたのだろう、
妻マリーの“過去”も。
採用した受付嬢エミと我が妻との関係も、その過去も。

(そして社長自身も人には言えない人生を負ってきたはずで)
冷徹無慈悲な悪役と思えたあの鬼社長が、それゆえに、妻の犯行をかばい、妻の人生を丸ごと代わりに贖なわんとして自首をし、そして、急転直下ピストルを咥えたのだ。泣いてしまった。

僕は仕事で数年金沢に通った。冬の北陸は辛い。吹雪と鉛色の海とその海に垂れ込める重い雲と。

あの時代
繰り返し襲う能登の荒波のように、復興して立ち直ろうとする者たちを二波三波と戦争の傷が叩きのめす。

劇中それぞれの死については具体的に手を下した犯人はいる。
けれど、
新しい時代と新しい自分の再出発を願う女たちを、そして男たちを崖っぷちに追いやり、
東京から北陸金沢へ、そして能登半島まで、戦争の生き残りを追い詰めて行ったのは官憲ではなく、戦争そのものだったのだ。

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きりん

3.5松本清張は読まないけれど。

2020年5月16日
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高校の時、松本清張を読む同級生がいた。
今なら東野圭吾を読むくらいの感覚?

推理小説だと言って読んでいたそれの粗筋を聞いてもオトナのドロドロな感じであまり興味は持てなかった。

森村誠一の「野生の証明」が映画化され大ベストセラーになったのを 父が「時代設定がめちゃくちゃ」と言っていた。

その頃の私は夏目漱石 芥川龍之介 井上靖
そして何より 漫画ばっかり読んでいた。

家が本屋だったので手当たり次第なんでも読めたが
その頃の大衆小説に興味がなく、西村京太郎も山村美沙も私の中では、漫画よりも文学から遠いものに見えた。

そういう 言わば上から目線だった原作の、
この時代設定の時はギリまだ生まれてない私が、
今から10年ちょい前に作られた昭和ど真ん中のこの映画を、
作業の片手間に選んだのだが、

かなり楽しく興味深く見た。

戦争というものの犠牲になる、というのがおよそ珍しくはない時代にあっても 大学生だった女性が弟のために米兵相手に体を売ると言う苦悩は如何許りかとおもう。
そりゃあ戦後の憲法で婦人参政権が与えられた日には、女性の時代を願って選挙にのめり込むのは百!理解出来る。

気立ての良い優しい女(木村多江)であろうが、あの時代の男は(あの時代でなくても) もと売春婦との幸福とは 世捨て人を覚悟してのものでしかない。

自分にも “戦後”というものが許されるのならば
それは 傷ひとつないまっさらな玉(広末涼子)との生活を望む。これは当時なら共感を得るのは容易かっただろう。

そう言った女たちの立ち位置を
原作よりさらに文学的に描いた作品となっていたように思った。

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asica

1.5あんましやった

2020年1月17日
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ストーリーは普通
広末涼子は演技させたらあかんのとちゃう?

中谷美紀と木村多江は好きやし、戦後のあの時代も好きやけど

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w_MAXL_rose

4.0昔の警察は大変だ

2020年1月14日
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原作未読で鑑賞。
色んな愛が絡み合って悲しい作品。
中谷美紀さんの圧倒的な存在感と美貌が暗いストーリーと暗い雪国に華を添えていた。
美しい人が壊れてく様子が何とも言えない気持ちになった。
この事件、今の時代ならDNA鑑定と携帯のGPSとあちこちに設置されている監視カメラで一瞬で解決されるんだろうな〜昔の警察は大変だな〜

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フラニー

3.0松本清張の長編推理小説を「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心が映画化。

2019年9月16日
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鑑賞方法:映画館

松本清張の長編推理小説を「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心が映画化。

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てかる

3.0"広末涼子らしさ"が活きた役どころだった。

2019年9月4日
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鑑賞方法:TV地上波

"広末涼子らしさ"が活きた役どころだった。

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montcre

4.0見入ってしまう

2019年3月1日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

さらっと観ようと思ったら引き込まれて真剣に観ていた。CGチープだなーと思ったがわざとなんですね。なるほど。
あまり関係ないのに殺されてしまう野間口さんの亡くなり方がなかなか悲惨…。

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さな

3.0良い。

2017年10月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

映像全体の雰囲気が落ち着いているのに反して、ときどき衝撃的なシーンがあるというギャップが面白かったです。
最初の方は退屈してしまいそうと思ったのですが、気づくとどんどん引き込まれていました。
戦後の日本の性差別のこれがリアルなのかな、と思わされました。

画も綺麗で好きな映画です。

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プリマベーラ

3.0昭和のミステリー大作家、松本清張原作。私は推理小説大好きだったので...

2017年3月9日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

昭和のミステリー大作家、松本清張原作。私は推理小説大好きだったのですが、何故か清張作品ははまらなかった。

本作、ゼロの焦点も正直読んだかどうだか記憶にない。記憶にない分、楽しめるかも、と思ったがやはりはまらなかった。

登場人物それぞれの行動にどうにも納得いかず。殺す方、殺される方、解決する人、ネタバレなので書けないがなんか変じゃね。少しだけ言うと鹿賀丈史、変。と思ったら原作からキャラ変更されてるみたい。中谷美紀の弟、お前、いらんやろ!と思ったら原作にはいないみたい。どうやら原作読んだ方がよさそうですね。

私は松本清張はミステリー作家というより、歴史作家として素晴らしいと思っています。昭和の実録的作品は最高です。小説帝銀事件、怖いですよ。

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はむひろみ

4.0充分に面白かった。わかりやすいのが全くマイナスにはならずむしろ物語...

2017年2月22日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

充分に面白かった。わかりやすいのが全くマイナスにはならずむしろ物語にのめり込む後押しとなった。敢えて言わせてもらうとあの役は広末涼子じゃなかった方が良かった。西島秀俊もあれはあれでいいんだけど演技下手な烙印が私の中で押されました。

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自由の座

3.0金沢寒そう

2017年2月21日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

前半のなかなかはまらないピースが後半から一気に繋がるのは面白かった。

中谷美紀は言うまでもなくはまっていたので特にノーコメント。

木村多江、やっぱり幸せになれない役が似合うなあ。。。
でも切ないよ、切なすぎるよ。

広末涼子の役は若いんだし、いくらでもこれからの人生やり直しがきくでしょ、て思ってしまい残念ながら共感できず。

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本まぐろトロ子

3.5松本清張に初めて触れた

2015年9月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

最後まで飽きることなく見られました。
でも主人公が広末だったのは…まぁこれはこれでアリかと何となく納得するが木村多江さんと中谷美紀は良かったですね。
原作を読んでいないことも功を奏したような笑
松本清張とても気に入りました♪
これから原作にもチャレンジしてみようかと本作をきっかけに思いました!

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みきねこ

3.0効果ゼロの焦点。

2013年3月16日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

今はほとんどマンガしか読まないけど、昔は本も読んでいて、特に松本清張さんはほぼ完全に読破しています。

「ゼロの焦点」は読んだけど、あまり面白かったという印象はなく、ぼんやりとしか覚えていません。

内容そのものは松本清張さんというか、日本映画の黄金パターンなんだけど、かなり商業主義にはしっていて、有名女優で客を呼ぼうとしているため、結果的につまらなくなっている。

女優さんの見せ場を作りすぎて、誰が主役かわからない。

普通は広末さんだけど、実際には中谷さんに完全に食われて、焦点が中谷さんになっている。

それで面白ければいいんだけど、かなりピンぼけな感じがする。

出張りすぎで、蒲田行進曲じゃないけど、「主役より目立つなよ!」と言いたくなる。

どうせやるなら視点を変えて、木村さんの演じていた田沼久子に焦点を当ててほしかった。

原作にあったかどうかは忘れたけど、木村さんの最後のセリフはよかった。

基本的に生きるって、他の生命を奪っていくことだから、つらいのが当たり前だと思う。

特に戦中、戦後を生きてきた人は、人には言えない悲しい思い出を、いっぱい抱えて苦しんできたのだということが、伝わってきました。

他の人の出番を削って、木村さんが演じていた田沼久子の過去とか恋愛を、丁寧に掘り下げていけばもっと面白くなったと思うし、「効果ゼロの焦点」にはならなかったと思う。

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Push6700

4.5「日本の戦後」という時代に特化した演出が光る秀作

2013年3月12日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

知的

まず、CGや衣装を昭和三十年代にピタリとあわせてきたスタッフの正確で緻密な仕事ぶりに敬意を表したい。特に当時の北陸・金沢の街並みをスクリーン上に再生させるのは、大変な労力が必要だったはずだ。そしてこの作品、そのスタッフの労力に報いる秀作に仕上がっている。

 「ゼロの焦点」と聞くと、昔の野村芳太郎監督作品を映画好きは真っ先に思い出す。はたしてあの名作を超えられるのか、というのが第一の興味だったのだが、私個人の好みもあるが、前作を超えたものができた、という手応えを感じられた。

 野村芳太郎のものは、同じ三十年代に製作されたこともあって、主人公の新妻の視点から夫の過去を追っていき、人間の欲望や業に重点をおいた清張原作によったものだった。ところが今回の犬童監督は、夫の過去や行動、殺人事件にそれほど重きをおかず、新妻を物語の語り部にして、日本の戦後を懸命に生きてきた庶民たちの生き様を画面にとらえることに重きを置いている。つまり、混沌としていた戦後の時代というものが、この作品の大きな核となっているのだ。

 この作品の登場人物たちは、どこかで「新しい時代」「今までとは違う自分」という言葉を口にしている。それは、戦火を命からがらにくぐり抜け、戦後を容赦なく突っ走った者が、発展しつつある日本の社会にもう一度体を合わせようとしていた、あの当時の大人たちの心からの思いを表しているものなのだ。その気持は、現代の大人たちが必ずもっている、今の自分から変革したいとの思いに似たものだ。だからこそ、この作品は古風な雰囲気をもちながらも、今を確実にとらえる普遍性を持ち合わせている。そんな現代人が共感する部分に焦点を合わせた作品に仕上げられたのは、犬童監督の演出の見事さとスタッフの労力につきると思う。

 学生時代、夜行列車で上野から金沢へ、そして能登へと旅したときのこと。夜行列車に乗った途端、自分が「ゼロの焦点」と同じルートを旅していることに少なからず興奮をおぼえたのだが、いざ能登の海(「ゼロの焦点」とは違う場所だったが)を見たときは、清張の世界なぞ吹き飛んでしまい、日本人の心の原風景を眺めているような懐かしさを感じた。
 日本人の祖先は大陸の民族で、日本海の荒海をわたってやってきた、と言われている。だから、能登の断崖や海には、遠い日本人の祖先たちが自分たちの地を求めてきた魂が宿っているように見えたのだ。

 この作品のラストシーンは、一連の殺人を犯した犯人が遺体となって小さいボートに横たわり、日本海に浮んでいるというものなのだが、荒波に木の葉のように揺れるボートを見ていて、私は学生時代に能登に旅したときに感じたことを思い出さずにおられなかった。おそらく、松本清張も能登の海に日本人の原風景を見出していたのだと思う。でないと、そう何度も能登を舞台に小説を書いてはいないだろう。その意味でこの作品のラストは、清張と日本人そのものをしっかりととらえているように感じる。

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こもねこ