劇場公開日 2009年12月19日

「さあ、これから楽しい音楽の時間の始まりデス♪」のだめカンタービレ 最終楽章 前編 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0さあ、これから楽しい音楽の時間の始まりデス♪

2009年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 さあ、これから楽しい音楽の時間の始まりデス♪(#^.^#)
 のだめと千明が生の声の決めぜりふを語り、待ちに待った5000人の完成プレミア試写会が始まりました。
 1時間に及ぶ舞台挨拶では、異様な熱気に包まれるなかで主要10名のキャストが登場。余りの大観客の声援に、上野樹里はスッカリ緊張しまくりで、声を詰まらせて感激していました。みんな役柄のコスチュームで役になりきっているのに、ひとりののだめだけで素になってしまっているのです。そして思わずネタバレしそうになって、千明が盛んに突っ込みを入れておりました。

 のだめが語る見どころは、まず「変態の森」。千明との初共演を言われて有頂天となったのだめがお決まりの妄想に耽けるとき出現する「変態の森」は、CGの導入で大幅にスケールアップ!三千世界に埋め尽くされた森の生き物たちの大群衆がのだめを祝福します。演奏シーンの至福イメージもCGで大幅にパワーアップされているので、劇場版ならではのスケール感を感じました。
 他にも、並木ゆうことの気功パワー対決などCGシーンの見所満載です。

 そしてのだめがうっかりネタバレしそうになったところは、ストーリー展開。千明とマルレ・オケが軸のなかで、同時並行的にのだめも頑張っている姿を上手くシンクロさせているのです。千明の演奏がなぜかのだめの痴態シーンのBGMにぴったりはまるところは、武内監督の上手いところだとのだめも感じていたようです。

 さらにのだめの痴態もうぎゃ~とパワーアップ。今回はただ叫ぶだけでなくドラキュアに変身シーンまであります。千明の首筋に噛みつくところなんぞ、大爆笑に包まれました。

 ところで、武内監督が一番見て欲しいと指摘したところは、千明の指揮の成長ぶり。これを褒めてやって欲しいとのことでした。
 今回は、千明がマルレ・オケを再建していく過程が多いため、指揮シーンが多いのが特徴です。実際に吹きかえなしで指揮した玉木宏の指揮ぶりは、クラッシックファンの小地蔵が見ていても、そのひと振りごとに気持ちがこもっていて、ああ相当に勉強したのだなと感じるほどの指揮ぶりでした。
 玉木にとって、今回指揮者のシーンが多いことがかなり
 玉木と共に指揮者役として出演している谷原章介も指揮の演技を通じて玉木の辛さが分かったいと言っていした。そんな玉木でも、歴史あるホールの式台に立った瞬間に、苦痛が快感に変わっていったそうです。
 映画撮影では史上初の快挙となった、ウィーン楽友協会ホールでの収録は僅か1日しか空いていなかったという奇跡。そんな一流指揮者でもなかなか立てないホールで指揮出来たことを玉木は誇りに思うと述べていました。
 楽友協会ホールで冒頭登場するのだめテーマ曲は、一段と木管の音が柔らかく、色調の高い演奏になっています。

 また主役なみに声援が多かったのが、シュトレーゼマン。「この映画が終わったらワタシと合コンしてクダサイ!」であいさつし、観客を沸かせていました。でも、今回は出番が少ないのです。しかも、健康に不安があるみたいで心配です。パリにいたはずなのに、撮影はなぜか河口湖だったとばらしてしまって、慌てていましたよ。でも外国に見えてしまうので不思議ですね。

 あと監督が出演者に一貫して指導してのが、テンション5倍。これには普段温和しいエリーゼ役の吉瀬美智子は苦労したそうです。おかげ上野が「こんなにパワーがいっぱい詰まった映画はなかなか作れない」と語るほど、勢いのある仕上がりとなりました。

 ただひとりだけデオ役のなだぎだけは、どうしてもディランのキャラが出てしまいフランス人には見えないところが、ミスキャストかなと思います。

 さて肝心のストーリーですが、ラストは内緒にして欲しいと監督が希望したように、ファンにとって、ちょっとショックな展開でした。
 後半の予告編で千明がふと漏らす言葉に、普通の恋人として付き合うなら何も問題ないのに、というのです。一緒にフランスへのだめを音楽留学に誘ったこと自体が間違いではなかったかと千明は疑問を持ちます。
 いくら好きあった関係でも、音楽家同士という関係では別。どうしても相手の到達点に嫉妬してしまう心がおきて、ふたりの関係を遠ざけてしまうのです。

 マルレ・オケの再建だけではなく、定期公演で千明はのだめの音楽家としてのプライドをズタズタにしてしまうことをやってのけてしまいます。
 定期公演のプログラムに、交響曲『悲愴』が入っていることも意味深でした。

 のだめが本当に立ち直っていくには、4月公開の後編でピアニストとして大成していくことが不可欠のようです。

 さあて、楽しい音楽の時間は2時間一気に駆け抜けていきました。音楽的にも、たっぷり聞かせてもらえる『1812』など大満足です。普段聞かない人でも、クラッシックっていいなぁと感じてもらえることでしょう。ぎゃはぁ!

流山の小地蔵