「歯ぎしり映画」イレイザーヘッド talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
歯ぎしり映画
この映画で一番新鮮だったのは、主人公と同じベッドで寝る彼女が歯ぎしりする箇所だった。歯ぎしり!人間は多かれ少なかれすべからく歯ぎしりをするもの(と、行きつけの歯科医は言う)らしいが、歯ぎしりをする女優が映る映画を私は初めて見た。彼女は寝ながら主人公の方にどんどん寄って行くので主人公は迷惑顔で彼女を押し戻す。リアルで笑えた。
途中で小さなステージ、床はチェス盤みたいで後ろはビロードのような生地の緞帳(白黒だから色はわからない)のシーンが入り、ほっぺたが異様に膨れた、でも目が可愛らしい女性が歌う。ツインピークスの小さな男がダンスをしたりFBIクーパーがよく入り込む空間のようなステージだ。
端正で実用的で乾燥している文房具=鉛筆と消しゴムの世界と、エイリアンのようにヌラヌラして魚みたいな存在や人間の身体の一部が共存していて気持ち悪くもジーッと見ていたくなるモノが沢山出てくる。悪夢のような世界。悪夢をよく見て夢も覚えていることが多い私にとっては親近感が持てる世界だった。ドイツの表現主義みたいな映画、ザ・白黒映画!
そしてイレイザーヘッド、髪が立って盛り上がっているのが私はとても気に入った。そういう髪型が好きだからだ。リンチ監督もイレイザーヘッド!
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モアイさんのコメント
2025年2月16日
新文芸坐いいですよね。私は最近知ったばかりですが色々なテーマで特集上映しているのが美術館の企画展みたいで感心しました。
リンチ監督作品って基本静かでおどろおどしい雰囲気なのに笑えますよね。そのくせやたら格好いいところもあって。
ツインピークスで自身が演じていたクーパー捜査官の上司役がすごく好きです。