劇場公開日 2009年10月24日

「キャスティングに問題が......」僕の初恋をキミに捧ぐ こもねこさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0キャスティングに問題が......

2009年10月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

漫画が原作、ということである程度覚悟はしていたが、前半、やや漫画チックな演出が続いたのには辟易してしまった。「こりゃ、おじさんにはついていけない映画かな」と思ったが、後半、心臓病の主人公をめぐって、若年の心臓移植手術の難しさが的確に描かれていて、そこには大人の観賞にも耐えられる手ごたえを感じた。若い人にはいろいろと考えさせられる点も多い内容にしたことは、製作者たちの意図を充分に反映させた監督の演出力のたまものかもしれない。

 しかしこの作品、致命的な欠点がある。それはキャスティングだ。

 心臓病を患う主人公に「イケメンパラダイス」の岡田将生、その彼に小さい時から恋心を育む幼馴染みに「花より男子」の井上真央、といかにも美男美女の純愛物語を予測できるキャスト、なのだが、なんとこの二人、中学生から高校生を演じるのだ。確かにドラマでの高校生役の印象が強い二人だが、彼らはすでに社会人の年齢に達している大人で、もう映画やドラマで充分に大人の演技を披露している。それをもういちど、中学や高校の役をやらせるのは、見ている側も無理を感じて仕方なかった。実際、試写が終わったあとの帰り、ハンカチを涙で濡らした女性たちの口から出たのは、感動よりも「中学生はキツイよねぇ」という言葉だった。
 岡田も井上も若さを前面に出して、かなり頑張って高校生をやり遂げていて、映画の最後のほうはあまりギャップを感じることもなかった。が、若い役者の選択肢はあったのだから、もう少しキャスティングに工夫してほしかったと思うばかりである。

 それに、心臓病を患う子どもがいる家族の苦悩をもう少し見せてほしかったと思う。自分の親族の家族に、心臓病で幼い命を亡くした者がいるだけに、余計にその部分が気になった。そこはこの作品の中ではそれほど重要ではない、ことは承知しているのだけれど...。

こもねこ