わたし出すわのレビュー・感想・評価
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出したことの理由と帰結は何だったの
総合:55点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
お金の使い方についての話が中心になるが、くだらない使い方をしている人が不幸になる。そして分相応な人や無欲な人が普通に暮らせるというありきたりな話になっていて、それも特に面白みはなかった。抑え気味な演出が地味なので淡々と進む展開にも惹かれない。
主人公小雪が何故このような行動をしたのかについても説明が無いし、謎だらけの主人公の掘り下げが浅いから、ただのお金持ちの変わり者に留まってしまっている。本当に困っている人はいくらでもいるのに、地元に帰ってわざわざそうするのはどうしてだろう。そしてお金を配った小雪だが、彼女のその行為に対しての物語の帰結が薄い。出された側のことは描かれても、出した主人公側のことが殆ど描かれない。一体この行為は何だったのかと、取り残される。
"風が吹けば桶屋が儲かる"
“風が吹けば桶屋が儲かる”
ビジネスに通じるこの言葉。主人公の小雪は、何故か友人達に大金をばらまいては相手側の期待と、僅かな不安・謎に対してしばしば嘘をついて煙に巻く。
例えば、同級生の小澤征悦には「コンピューターウイルスを作っている」…と。
彼は完全に鵜呑みにはしていないが、“風が吹けば…”的なビジネスの論理かと勝手に解釈して納得する。
実際彼女は、映画が進むに連れて“ある理由で”大金を手にしているのだが…。
そんな彼女にとっての一番大事な人物は母親である。その母親が…。
彼女は母親と独り言の様な《しりとり》をいつも行っている。しりとり自体を“風が吹けば桶屋…”の比喩的な対象と受け取れ無い事も無い…とゆうか、私の強引なこじつけです(苦笑)
ここ数年、個人的には期待を裏切られて来た森田芳光監督だが、今回は久し振りのオリジナル脚本だとか。
だからかどうか解らないが、かなり面白く観た。(世間的な評価は酷評が溢れている様だが…汗)※1
映画の冒頭からニュースアナウンスが絶えず画面のOFFから聞こえて来る。
余りにもあからさま過ぎてしまい、観客からは直ぐにこの伏線は「怪しい!」と思われてしまうのは勿体無い。
元ネタが今ひとつはっきりとは解りかねるのですが。森田芳光が思い描く、小雪のキャラクターに近い人物像がおそらく存在するのでは?と感じるところが幾つか有る。
あてずっぽですが、歌舞伎や小説の類に登場する石川五右衛門であったり、(小雪が女性で在る事から)女鼠小僧であったり…等々。
また違う解釈として、西洋的な観点から“人に分け隔て無く禄を与える”とゆう発想自体が《神の視点》と捉えられなくも無い気がする。
意外と海外では好評を博する気もするのだが…果たして。
あくまでも森田芳光のオリジナル脚本の為に、そこまで深読みをするのはどうなのか?…との思いも在るが、実際小雪演じる主人公はお金を与える相手にとって、そのお金がどれほどの価値が有るかを“知った上で”与えている。決して“気紛れ”に近いばらまきはしていない。それだけに映画を観ていると、より西洋的な観点が感じられて来る。
それをより思わせる人物像が友人達のキャラクターにも振り分けられて居る気がする。
彼女の友人小池栄子の旦那役ピエール瀧は、《箱庭》の世界に没頭している。彼もまた1つの《神の視点》を持つ趣味の1人だ。そんな彼を愛おしみながら、ささやかな幸せを慈しむ小池栄子に、マリア様の様な感覚を見いだすのはちょっと無理矢理だろうか。
小澤征悦演じる魚の生態系を研究する人物でさえ、「恐ろしい事なんだ…」と言ったセリフが確か有ったと記憶しているが、彼もまた自然界に逆らっては、新たな生物を作り上げている《神》の存在を担う一員でも在る。
彼・彼女達はおそるおそる小雪に対してお金の工面を口にするが、意気地が無かったり“本当の必要性”が無かったり…と言った理由から、何が何でもと言ったお金の亡者では無かった。しかし…。
同じ友人達の中でも他の人物は…。
黒谷友香演じる、自分が美人で有る事を鼻に掛け、玉の輿に乗った事を誇らしげに語る女。
そして、「路面電車は環境に優しいんだ…」と語る井坂俊哉演じる男と、その嫁役の小山田サユリ。
お金が貰える事を、半ば当たり前で在るかの様に解釈し始める嫁。次第に罪悪感さえ無くして行くこの夫婦には…。
この2っの例は極端な話の持って行き方では在るが、これもまた“因果応報”の報いと考えると理解し易いかも知れません。
それを裏付ける要素として、映画の冒頭に示される2っのお金に纏わる比喩的な言葉が、映画の内容に深く関わっています。
曰わく、欲望は絶えるどころか、深まると罠に嵌ってしまう…と。
そうなると、映画の内容をそんな風に解釈し始める私自身にも、少しずつ解り難い部分も生じて来る。まぁ、何せ勝手に解釈し始めている部分が在るのもその理由では在りますが…。
そうなると、登場する友人達の中で、駅伝ランナー(と思われる)山中崇と、その母親役の藤田弓子の存在は一体何の比喩または対象になっているのだろう?と言った辺りや、仲村トオル演じる男が、主人公の小雪に対して一目置いている気持ちが最後は中途半端気味なところ。それと、この作品の中では一番の“核”となっている母親の存在。
彼女にとって何故《わたし出すわ》との気持ちに駆り立てたものは一体なんだったのか?
彼女自体も有る意味《神》からの“見返り”を求めての行為そのものだったのだろうか?
その辺りの気持ちの在り方・変化がやや希薄だった感じも否めない。
《神の存在》から言えば、キャバクラに通う永島敏行の役柄もそうだが、散々観客に謎かけをしたニュースの真実も実は…とゆうオチの軽さも、何だか少し物足り無く感じてしまう。
そこが一番世間からの批判を浴びるところだと思う。
余談ですが、競馬好きな森田芳光だけあって。袴田吉彦の役柄が、諸にダーレーアラビアンを想像させるのだが、役名が《天草大二郎》って…ベタ過ぎだろ(苦笑)どうせなら、川島某にしておけよ…と(苦笑)。
作品の中でそれ程効果的とも言えなかったのだが、森田芳光らしいと言えばらしいかな。
あ?そうだ!北川景子の役名をエンドクレジットで見た時は思わず噴き出しそうになったっけ(笑)
そんなこんなで、何となく個人的にはどこか嫌いになれない…何回か観て新たな発見も感じたい作品ではありました。
※1 まだまだこれから…って感じがしていただけに残念ですね。
(2009年11月5日新宿バルト9/スクリーン5)
オレ(わたし)にも、出してくれッ!?
そんな風に思わずには、いられなかった人も、多かったのでは、ないでしょうか?
と思われる昨今(?)の世情を反映しているかのような作品でした。
マヤ(小雪さん役)みたいな美しき旧友に、大金を出してもらったりしたら、(男だったら?、)勘違い(?)の一つでも、してしまいそうなもんだが、…
映画の中の旧友達は、そんな有り得ない出来事にも、(始めは、驚きは、するものの)全くブレる事もなく(←1番ブレそうな←あくまでも、今までの役柄からの印象で!←小池栄子さんの役までもがっ!←コノ落ち着いた役柄も、後半で、実は、「当たった」張本人だからでした、ってオチが付くからなのだが…)、
あまりにも、(「そんな事も?有ろうわな」とでも言いたげに)淡々としているのが、妙で、印象的でした。
けど、やっぱり、当然(?)、"お金"に左右されてしまう人も出てくるわけで…
「(自分らは)、ドッチなんだい?」
と問いかけられてるような作品でもありました。
小雪さんみたいな正体(?)の見えそうで、見えない、裏や影が有りそうで、無さそうな、存在自体が、いそうで、いなさそうな感じ(?)は、本作のようなミステリアスな役には、まさに、ウッテツケだったのかもしれませんが、
東京に出て行って、株で、たまたま( ? ストーリーが、進むにつれ、知識や情報に、裏打ちされていたらしき事が、判明してくるので、…狙って ? )当てていたのでした(!?)、ってな展開では、
せっかくの神秘性も、何も有ったもんじゃない!
時代的にも、有り得そうな背景で、現代的には有っても、可笑しくない状況に、落ち着いてしまうのは、
せっかくの(?)有り得ない設定を上手く生かしきってない気もしていたが、ラスト近くに奇跡(?)が、起こって、「もしかして、コレって、因果応報説系?…なのかな?」と思えてくると、
マヤ(小雪)の御顔も、菩薩系に見えてこなくもない(?)…合掌
小金と幸せ。
久しぶりに、森田節がさく裂した作品だと思った。
相変らずテーブルを挟んだ演出の巧い人だと感じる。
そこで交わされるなんてことない台詞の一語一句が
ふざけているようで的を得ているのがとても不思議だ。
言葉にリズムがあるので、背景音楽も必要ない。
「金が人生を狂わす」ことを知っている人間でないと
こういう演出はできないんじゃないだろうか^^;
女神の様な顔の小雪が同級生たちに大金を差し出す。
普通受け取らないだろ!?と思うのに皆が受け取る^^;
中には生活に困って無心にくる者までいる。何なんだ?
…これって、いわゆるアレですね。
知り合いが有名人になると、全く知らない叔父さんとか、
訳の分からない親戚が増えて「お金をくれ~」っていう、
芸能人の楽屋話みたいな展開。でも面白い…^^;
その大金をどう使うかで、人生が分かれていくのだが、
それ自体に小雪はほとんど絡まないし口も出さない。
欲しいというから出してやった。あとはその人次第。
というわけなのだが、考えてみれば、元々貯めるのが
巧い人ならば、トーゼン自分で貯め始めているだろうし、
まぁそういうタイプは使い方も心得ていたりするので、
無心すればするほど「堕落する」人間を観ることになる。
対して、その大金を欲しがらない人間もいるのだが…^^;
後々まで観れば、冒頭のゴールドバー事件の真相も
分かるのだが、ここまでくると、彼女がなぜその大金を
彼らに差し出したのかはそれほど重要な観点でなくなる。
どんなに稼いでも儲かっても、大金=幸せ。ではないと
思う人間もいるということだ。本来はそれ以外の何かを
手に入れたいが、それはお金ではどうにもならないもの。
だったら使って下さいな、私に親切にしてくれた皆さんに
どうぞ…と、まさに「寄付」をするような感覚なんだろうか。
冒頭に幾つかの名言が提示されるが、そのとおりだった。
私は、金は天下の回りもの。だと思っているので、
生きるに困らない程度のお金があれば、多くは必要ない。
(あと映画館で映画を観られることが必須^^;)
今作でいえば小池栄子とか藤田弓子みたいに、
自分が幸せだと思えることは他人と比べる必要もないし、
小さな冷蔵庫も箱庭(この会は面白い)も小金で株買いも
なかなかいいじゃないか♪と思った。幸せなんだから。
結果。
小雪の行いが功を奏したのかどうかは分からないが、
彼女にある奇跡が起こる。善意って大切にしたいものだ。
(わたし出すわ。お茶とお菓子くらいなら。いかがかしら^^;)
うーん…
小雪主演映画。小雪の仕事がなんなのかいまいちわからないまま話がすすみます。そして、なぜせっかくのお金を級友達にばんばん気前良く配ってしまうのか…理由もよくわかりません。しかもその級友達も本当に仲がいいのか、水面下では腹黒いのか微妙です。
後半、小池栄子もお金をばらまいていた事が判明しますが、これも別になくても良かったのでは…。
全体的にしっくり来ませんでした。
あぶく銭なら、是非募金等で役立てた方がいいのでは?と思わずにいられませんでした。
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