「超人であることだけがヒーローの条件じゃない」キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
超人であることだけがヒーローの条件じゃない
初めに書いときます。
本作はエンドクレジット後にオマケ映像があります。
超大作『アベンジャーズ』を楽しみにしている方は、絶対に席をお立ちにならぬよう!
「うおぉ、遂に来たか!」って感じですぜ。
ま、オマケ映像の為だけに映画を観る方はあまりいないし、
皆が皆、『アベンジャーズ』を知ってる訳でも無し。
本編のレビューに移ろう。
最初に一番の不満点を挙げますかね。
それはずばり、アクション演出の物足りなさ。
どのアクションシーンも全体的にアッサリ短め。
アクションに移るまでのタメや、歌舞伎でいう所の“見栄”の演出も少ないので、
画はド迫力なのにいまいちエキサイトできない。
主人公の大活躍をダイジェストみたいな流れで処理しちゃったのもかなりガッカリ。
話のテンポを重視したのは分かるけど……。
だがそれを差っ引いても本作には満足できた。
それは、どの登場人物も人間的な魅力に満ちていたから。
まずはやっぱり主人公!
その超人的な強さに奢る事無く、底抜けに優しい心を持った、古き良きヒーロー像。
手榴弾のシーンで一気に心が傾いたなあ。
他人を護る為に何の躊躇も無く自分の命を投げ出せるって凄い。
しかも超人になる前だもんね、あのシーンは。
主人公が超人になった直後から軍のPRに利用される展開も皮肉が利いてるし、
主人公自身は「護る為に戦う」という至極真っ当な理由で戦っている故、
いわゆるアメリカ万歳!な感じはなく、素直に応援したくなる。
今や絶滅危惧種みたいな類のヒーローだけど、カッコイイ奴は今も昔もカッコイイのさ。
他のキャラも良い。
主人公の親友バッキー、
息子ソックリな発明家スターク、
最後の胸を指す仕草が泣けるアースキン博士、
“恐怖”に対して常に忠実なゾラ博士、
「ハイル・ハイドラッ!」と総統をガン無視して暴走する仇敵・シュミット。
あと、ペギー姐さん!
ダーティハリーも真っ青の射撃の腕を見せたり、不躾な新兵を拳でぶん殴ったり、
姐御、カッコイイっす!
そのくせ主人公との関係はロマンチックで素敵。最後が切ない……。
続編が出るなら延期してたダンスをさせてあげたいよね。踊れるといいけど。
車の運転でちょっとだけ『MIB』してたトミー・リー・ジョーンズも良かった。
「俺はキスはやらんぞ!」(爆)
バリバリのアクションよりもキャラの魅力で観客を魅了する映画。
僕は好きです、コレ。
<2011/10/15鑑賞>