「大安定の出来栄え! 黄金のエンタメ大作」マイティ・ソー 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
大安定の出来栄え! 黄金のエンタメ大作
こりゃ大安定のエンタメ映画!
夏の大作がワラワラ公開されるこの時期、
何を観るか迷うようなら僕は本作を勧めますよ。
本作の監督にケネス・ブラナーの起用を思い付いた方はたぶん天才やね。
シェイクスピア映画が得意な彼だけに魅力的なドラマ・キャラ描写は流石。
だが派手なアクション演出までこなせるとは驚きだった。
絢爛豪華なセットや超巨大スケールの神々の国アスガルドの描写も目に愉しく、
「3Dで観ても良かった」と珍しく後悔……。
尚且つこの映画、アクションとドラマのバランスが丁度良い。
家族の対立を描いたドラマだが深刻過ぎず、
アクションに傾倒し過ぎてドラマ・キャラ描写が半端になる事もない。
エンタメ映画の黄金比と言えそうな程の見事なバランス。
(故に“ズバ抜けてる!”という印象が薄いのがネックでもあるんですが)
重厚さは残しつつ、ユーモラスなシーンも多い。
テキサスの片田舎をゴツい神々が闊歩するシーンなんて、
あまりのミスマッチに客席からも笑い声が……。
そして魅力的なキャラだ。
恐怖の黒鳥とは打って変わってキュートな魅力を放つN・ポートマン。
コワモテな印象の強いS・スカルスゲールドも今回は好好爺。
あと役者さんの名前が分からないのだが、神々の闘いよりも
iPodと大学の単位を気にする姉さんがトボけてて素敵。
無論、サー・A・ホプキンスは神々感全開だッ。
そしてC・ヘムズワース演じる主人公ソー。
粗暴で傲慢だが、高貴な精神も持ち合わせた男。気持ちの良いヤツ!
自分の傲慢さであらゆる物を失った彼が苦悩し、
更なる高潔さと強さを得る展開に、思わず応援したくなる。
また、絶対無敵の力を持ちながら、最後の敵は
その力を発揮できない(したくない)相手という点もニクい。
けどやっぱり僕は、悪役のロキに感情移入してしまうんですね。
自分が休戦の為の“道具”だったと知って激怒した彼だが、
そんな自分を息子同様に育ててくれたオーディンを、
やっぱり本当の父のように慕っていた。
父親に愛されたかっただけなんだよね、本当は。
世界中をメチャクチャにしてでも父親の愛を
独占したかったロキが、僕にはなんだか哀れで。
あんなことする必要、初めから無かったのにさ。
以上!
ヒジョーに楽しんで観られました。
ところであの謎のアーチェリー使いも次回作への布石?
最後の青白いデバイスと併せ、気になりますなあ。
<2011/7/2鑑賞>