「愛も魚も半分こ。」ヒックとドラゴン ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
愛も魚も半分こ。
あちらでは軒並み1位の大ヒット作だったので、
どんなんだろう~と楽しみにしていた。
ストーリー的には特に変わった話ではないな、と
思ったら児童文学が元になっているらしい。
ひ弱な少年とドラゴンの育む友情をベースに、
愛は生物を救う…という壮大な物語に仕上げた。
その島ではバイキングとドラゴンの合戦が長く続き、
バイキングの種族として生まれた子供たちは、
幼い頃から闘いについての訓練を強いられていた。
族頭の息子でありながらひ弱で闘いの才能に欠ける
主人公のヒックは、それでも父親に認められたいと
日夜ドラゴンを撃墜する道具を拵え、実践していた。
やっとのことでその罠にドラゴンがかかったのだが、
彼には止めを刺すことが出来ない。それはなぜか…。
冒頭からヒックの語りで延々と語られる歴史と現在。
あ~この子は今でいう「草食男子か?」と思われる^^;
頭脳は明晰、研究意欲も発明の才能もある、ただ、
彼にいちばん備わって欲しい(戦闘的な)能力がない。
そもそも観ている私たちも、なぜこんなに長い間、
ドラゴンと人間たちが争っているのかが分からない。
遣られたら遣り返す。のごとく、意味のない闘いを
繰り広げているにすぎないことをヒックは感じている。
では彼は、臆病ものなのか?というとそうではない。
ドラゴンに止めをさせなかった理由を彼は自問する。
たったひとりでドラゴンの傷を癒し、餌を与え、他の
バイキングには悟られないように彼らの習性を学ぶ。
そして実践。冷静で的確な行動力には頭が下がる。
もはや自分にとっての敵ではない。と考えるヒックを、
トゥースと名付けられたドラゴンは察知し懐いていく。
ここまでの丁寧な描写が本当に素晴らしい。
言葉で理解し合えない人間と動物が互いを許容する
までのプロセスを相互行動でリアルに表現してくる。
ちなみに虫の言葉を理解する女の子は登場しない(爆)
分かり合えない同士なら、闘うしか方法はないのか?
いやいや、手懐けるという方法があるぞ^^;という本作。
勝ち負けにこだわらない生き方をするバイキングなど
存在しないだろうが、相手を封じ込める力が腕力だけ
ではないことを証明してみせたのが新しい試みと思う。
また、喧嘩両成敗ではないが、ヒックが迎える闘後の
運命には、従来の子供アニメを超えたほろ苦さが残る。
キャラも声優陣も申し分ないが、映像面もスゴイらしい。
私は2Dで観たので3Dの効力は分からないが^^;
ドラゴンにまたがり飛躍するスリルとスピード感溢れる
映像は、ゲーム世代の子供たちの目にも楽しく映りそう。
第二のアバターかぁ。なるほどねぇ^^;
(まんまる目のトゥースは可愛すぎてドラゴンに見えず^^;)