縞模様のパジャマの少年のレビュー・感想・評価
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全く難しくなく、見やすいので是非
自分はメッセージ性がどうとかラストがどうとか、あらすじやら背景について語るつもりは全く無く
「素晴らしい作品でした。」これがまず伝えたいことで。
ホロコーストを扱った作品は無数にあれど、これほど明解に繊細に作られた物は中々お目にかかれないと思う。
100分程度の映画に詰めるべき内容と量がきっちり詰まっている。多すぎず少なすぎず、全てのシーンが過不足なく丁度収まってるのがすごく気持ちいい。
原作が児童文学に属するので、原作者ができるだけ子供に分かるようにと読者の目線に寄り添って書いている事と、ホロコーストという成熟しきった題材がうまくかみ合っているんだと思う。
登場人物の性格の配置とそれを観客に伝えるためのエピソード作りが実に見事で、またそこからエンディングまでのシーンの抽出、がいかに優れていたかと映画を見終えた後、舌鼓が止まなかった
例えば少年ブルーノが友達と飛行機の真似をしながら下校する冒頭シーンひとつで、少年の幼さ、純粋さが伝わるし、友達と遊ぶ事がいかに好きか、そしてもしかすると軍人に対して憧れがあるのではないかと、映画のストーリー上でブルーノが見せた性格の全てが一見して感じ取れる
引越しパーティでのブルーノの祖母が軍人であるブルーノの父に嫌味を言うシーンからは、祖母の軍人に対する考えと父親の少年時代から現在までの変遷や彼の本質を予感させる。
全てのシーンが起こるべくして起こって、あるべくしてあった。
暗いストーリーではあるものの、ジグソーパズルのピースが繋がっていくような気持ち良さが常にあった。
また役者陣の演技についても全く文句のつけ様が無い。
80点でも無く120点でも無く、100点中100点の作品とはまさにこうゆう物だと思う。
マークハーマンの安定感
この映画に出会えて良かった
この映画は大きな音の効果音はなくて、
ただ観ている人の心に切実に訴えかけてくる映画でした。
今までの戦争を題材にした映画は
大人からの視点で描かれているのが主だったけど、
この映画は子どもの視点から描かれていて、だから余計に心に響くものがありました。
人をユダヤ人とかドイツ人とかと見るのではなくて、ただ1人の人間として見る。
私たちが今でも出来ていないことをブルーノという少年はやってのける。
ラストは衝撃的だったけどこの終わり方以外は考えられません。
観た後に人種って何なんだろう、大人は歴史をどのように捉え、伝えていったらいいんだろうと深く考えさせられ、また、自分の価値観をしっかり持って事実を受け止めることの大切さを教えてくれる、素晴らしい映画です。
現実という名のドS映画
2008年イギリス映画。95分。2011年1本目の作品。予告編でずっと気になってた映画が今年の1本目の作品に。
内容は;
1,時は第一次世界大戦まっただ中、ドイツに住む主人公の少年は父の転勤で家族共々引っ越すことに。
2,新しい生活の地で少年は縞模様のパジャマの少年と友達になる。
3,そのパジャマの少年はユダヤ人収容所施設で生活していた。
本作のミソは、人種問題は大人の問題であって子供の視点からはまったく関係ない、ということでしょうか。本作はいわゆる実存主義的な作品。大人が受け入れる世の中の規律に「汚染」されていない子供の視点から描かれた人種差別問題。
もちろん、これだけではただのファンタジーで終わってしまうのであって、ドラマにするためにはそこに大人や社会の2人の少年の友情への介入が必要になってくる。ですが、本作の場合はいくらなんでもやりすぎです。
これは子供向けの映画ではなく、大人向けの作品。家族で観ることなど絶対にしないでください。予告編の宣伝の仕方もあるのでしょうが、本作を観終わった後、あまりの絶望ゆえにすごく気分が落ちました。
それにしても、「あれ」はひどいな。そこまでする必要が本作にあったのだろうか。あと30分長くしてもいいから、もっとましな終わり方にして欲しかったです。
これも戦争映画
ブルーノの心
少年の目で見た控えめな演出が、より強い平和へのメッセージを感じさせました。ラストがあまりに衝撃的!
ナチス・ドイツの強制収容所に所長として赴任した父親に伴って、収容所近くの官舎に移り住んだブルーノ少年の視線で語られる収容所のユダヤ人とホロコーストの告発する物語です。
まだ8歳のブルーノにとって、父親の仕事も、収容所の目的も分かるはずもありません。ただ父親は国家とみんなのために尽くしているいい仕事をしているのだとおぼろげながら、信じて尊敬していたのです。
そして、父親から収容所は農場であると教えられて、そう信じていたのでした。両親の愛に育まれて、一度も大人達の言うことを疑ったことのないブルーノにしてみれば、ホロコーストなど、存在するはずがありませんでした。
けれどもその無垢ゆえの無知さは、思いも寄らぬ悲劇を生むことになります。
強制収容所をテーマにした作品としては、子供目線にしたため、ほとんどその内部のことが描かれていません。
人権や反戦など何も主張せず、少年が見た事実だけを追う本作は、それがどういう意味なのか分かる観客にとって、かえって戦争の悲惨さを印象づけるものとなりました。
ブルーノが、縞模様のパジャマを来た人と出会うのは、引っ越してきてすぐのことでした。ブルーノは、庭のブランコから落下し、怪我します。それを慣れた手つきで手当てをしてくれたのがパヴェルでした。
かつて医者だったという彼は、いつもキッチンで芋の皮むきをしているばかりです。そして、なぜ昼間から縞模様のパジャマを着てキッチンの手伝いをするのか?とブルーノは疑問に思うのでした。
何かに怯えながら意志を押さえているパヴェルが、ブルーノに見せる優しさと人間らしい表情がとても印象的でした。
引っ越し後友達がいなくなり、退屈な日々を過ごすブルーノがある日見つけたのは、物置の窓から広がる裏庭の森。探検が好きなブルーノにとってうってつけの場所でした。母からは、「その場所のことは気にしてはいけないし、絶対近づいてはいけない」と言われると余計に冒険に出かけたくなるものです。
ブルーノは巧みに母の目を盗み、禁じられた裏庭の森の向こうへ向かいます。そして、収容所のフェンスのたどり着いたとき、フェンスのなかにはシュムエルという、縞パジャマを着た同じ年の少年がいました。はつらつとしたブルーノとどこか憂いをもつシュムエルの表情の違いが、お互いの置かれた立場の違いをよく表していました。
ブルーノは頻繁にシュムエルのもとへ通うようになります。ボールを持っていったり、お腹を空かせている彼のためにチョコや食べ物を運んだり。次第に二人の心は近づいていきます。
けれどもブルーノがどんなにシュムエルと一緒に遊びたいと思っても、いつもフェンスが阻みました。しかも高圧電流が流されていて、少しでも触れると感電するのです。
ブルーノは、シュムエルのきている縞模様のパジャマに興味を持ちます。シュムエルは自分たちはユダヤ人で、みんなここに連れてこられて、服を剥がされ、パジャマに着せ替えさせられたことを説明します。
けれども、ブルーノはユダヤ人の事を知りませんでした。そしてシュムエルが着ているパジャマに刺繍されてる番号も、何かのゲームのためのものだと思いこんでいたのです。
そんなブルーノでもシュムエルとの交流を通じて、少しずつ収容所の実態が分かっていきます。
そこは農場ではないこと。シュムエルはいつもお腹を減らしていること。そして内部では時々身近な人がいなくなっていること。
父親たちが鑑賞していたドイツのプロパガンダ映画では、収容所はユダヤ人の楽園となっていました。
シュムエルの話を聞いているとどうも違っているようだと無垢な少年の心に、本当のことが知りたいという探求心が募っていくのでした。
それに、ユダヤ人は有害で敵だという家族や家庭教師は語ります。でもシュムエルやパヴェルなど知っているユダヤ人はフリンドリーな人たちで、どうしても有害だとは信じられませんでした。
そんなシュムエルとの友情にも試練の時がきます。
ある日家に戻ってみるとシュムエルが目の前のいて、ブルーノは驚きます。ガラス食器を磨くためにかり出されたのでした。シュムエルが空腹なことを知ると、ブルーノはケーキを差し出します。それをむさぼりついているところを運悪く、父親の部下コトラー中尉に見つかってしまいます。恐怖のあまりブルーノは、彼のことは知らない。見たこともない。勝手に盗み食いをしていたと嘘をついてしまいます。
ブルーノは、裏切ったことをとても後悔します。けれど誤りたくても、シュムエルはその日から、いつものフェンスの場所に、姿を見せませんでした。
しばらくたって、ようやくシュムエルは姿を見せます。でもその顔には、明らかに暴行をうけた痛ましい痕跡が刻まれていました。罪悪感を募らせるブルーノをシュムエルは許し、固い握手をするところが良かったですね。
このときシュムエルは、父親が行方不明だということブルーノに告げます。ブルーノは一緒に捜そうと約束するのでした。
そんなブルーノに母から引っ越しが告げられます。夫の任務の内容と収容所の秘密を知った母は、夫に失望し、子供たちの教育のためにも即刻この場所から退去すべきだと考えたのでした。
シュムエルとの別れを惜しむブルーノは、父親を一緒に捜すという約束を果たすべく、家族に内緒でシュムエルの元へ向かいます。
それは、衝撃的なラストを迎えてしまう決断となってしまいました。
とても語れないエンディングは、ぜひ劇場で目撃されてください。
少年の運命は、果たして強制収容所のユダヤ人たちのいのちの代償になりえたのだろうか?深く考えさせられる結末でした。
森の映像美もきれいで、印象に残る映像です。
純粋さが生む痛み
期待していたよりはよかった
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