「上質の心理サスペンス」湖のほとりで kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
上質の心理サスペンス
湖のほとりで発見された
あまりに美しいアンナの遺体。
ちょうどそのころ、一人の少女が姿を消し、
この「猟奇的殺人事件」「幼女誘拐事件」・・
を思わせる事件の捜査に訪れたのが
サンツィオ警部です。
刑事サスペンスにしては、
派手なカーチェイスはもちろん、
頭脳派刑事の名推理や、
最先端の科学捜査も、
密室トリックも、アリバイ崩しも、
なにもかもありません
ただ、刑事は「捜査協力」の大義名分のもと、
普通だったら踏み込めない
関係者のプライベートにまで立ち入れるのですが、
その過程で、
少しずつ関係者の人間(特に親子)関係や
悩みや葛藤、心の傷などが次第に明らかになってきます。
被害者のアンナとその父親、
ボーイフレンドのロベルトとその母親、
幼女誘拐を疑われた知的障害のマルコと
その父親。
アンナがベビーシッターをしていた
先天的脳症のアンジェロとその両親。
そして警部自身の若年性認知症の妻と
娘のフランチェスカ。
何組もの家族の関係が、捜査をすすめるうちに
少しずつ浮き彫りになってきます。
やがて、アンナに関する重大な事実が明らかになり、
いままで「思い込んで」いた
数々の事柄が、すべて崩れていくのです。
犯人にたどり着く過程であぶりだされる人間の心の闇。
それは、「意外な人が犯人でビックリ!!」
なんていう一般的な推理サスペンスよりも
ずっとスリリングでした。
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