蟹工船のレビュー・感想・評価
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それなりの
原作を読んだことがないので
プロレタリア文学、劣悪な労働環境の話、
くらいの予備知識しかなく見ました。
原作が近代文学ということで内容も
今となってはよく見てきたありきたりの
下克上といった感じ。でもそれなりに感動しました。主演の龍平さんの演説シーンがじーんときて、やっぱり演技すごいんやなあと。
あと西島さんが蟹工船の会社の人間で、珍しく悪役で新鮮でした。
蟹工船の松田龍平以外の他の労働者も名優が多く良かったですが、ひとつ「えっ?」って思ったのは芸人のTKOが居たこと、、。劣悪な環境下にいる労働者役なのにあのふっくらした健康そのものの身体つきはないわ(笑)あれだけはほんと人選ミスだと思いました(笑)
結末はストのリーダーである龍平さんが殺されて、それでももう一度立ち上がるぞ!で、終わってしまって悶々としました。(笑)
でも、これで原作読もうかなという気になったので逆に感謝です(^-^)/買ってみます(^-^)/
文句言って何もしない人、だめよ
映画「蟹工船(2009)」(SABU監督)から。
小林多喜二による1929年のプロレタリア文学の名作「蟹工船」、
そう書かれた作品紹介に、なぜか引っ掛かるものがあった。
テストのために「蟹工船・小林多喜二」と対で暗記していたから、
すぐ原作者は思い出せたが、どうしても物語が浮かんでこない。
そこで原作は後回しにして、映画を先に観ることにした。
気になる一言は、出稼ぎ労働者で蟹缶の加工を行う船・蟹工船の
劣悪な環境に耐えられず脱走した主人公が、
救出されたロシア船で目にした労働環境の違いに驚いたシーン。
「本当に通訳?」と疑いたくなる人物が、彼に近寄り、呟く。
「一人ひとり、立たないとダメね。文句言って何もしない人、だめよ。
「わからない、怖い、やらないね。考えることやめたら、終わりよ。
ず~と、考える。何するか見えるよ、今すること見える。
行動ね、一人ひとり考える。一人ひとり行動する。一人ひとり大事ね」
(うまく聴きとれたかどうか、疑問ですが・・(汗))
この会話をきっかけに、日本の蟹工船に戻り、
「俺たちの最大の弱点は、命令に我慢・慣れすぎている」と主張、
劣悪な環境に働く労働者たちを蜂起させるけど、
実は、映像よりも文字で読んでみたくなった。
早速、図書館に行って、原作を借りてこようっと。
と~れとれ、ぴ~ちぴち。
今作の大きな問題点は、これがあの「蟹工船」であるからで、
「カニ缶詰船」とか「カニ加工船」だったら良かったのだ。
SABU監督の作りだす世界観は、取り立てて悪いものではない。
でもそこへ名作小説をベースに掲げることを、まったく
意に介せない読者層は腹を立ててしまったんだろうと思う。
折しも、その名作が若者の間で読破されつつあることから…。
他の名作なんかでも、こういうのはよくあることだ。
まったく別の視点と解釈で描きたいのなら、他の題名を
付ければよいところだが(それに参考原典を添えればねぇ)
それでは興行的にカニかま以下、となるんだろうか。
まぁ如何せん、今作におけるSABU監督の意向は満たされて、
あとは観客がどう思うかを委ねる結果となり…。
残念ながら(夏休み期だし)公開期間はけっこう短かったが…。
支配する側とされる側の攻防戦を描く本作では、
実はもっと悲惨な現状が(そこが時代的にモノをいうわけで)
それを思うと、何だ、こんなの甘いじゃないか!なのだが、
描かれ方はどうにしろ、言っていることはどちらも同じだ。
今の雇用不安状態に被せて語っている部分が確かにある。
今度生まれ変わったら、誰誰さんの家に生まれたい??
想像するんだ、誰誰さんの家に生まれ金持ちになる自分を。
…このシーンの妄想では、おふざけが過ぎ腹も立つのだが、
ラストでその誰誰さんの名前と写真がピタリと重なったとき
ここはただ黙っている場合じゃないんだ!と怒りが爆発する。
ところで自分が働く会社でも、上司の指示は絶対だ。
これは違うだろうと思えばある程度意見を言える者もいるが、
大方は黙って黙々と自分の作業に入っている。
今のご時世、この歳で仕事を失うわけにはいかない。
まして家族を背負っている立場なら、なおさら気合いが入る。
まぁ上司とて、有能な存在なら絶対に手放したくはないので、
酷使と宥めを交互に行っている状態だが、彼女を見ていると
(女上司で独身)ものすごい精神力だといつも感心してしまう。
でも、彼女のようになりたいと思ったことは、一度もない。
どうでもいいことだが、蟹は大好きだし、カニ缶も好きだ。
食べるだけなら…。
(働いて、稼いで、生活し、映画を観るのがワタクシの幸せ。)
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