劇場公開日 2010年3月12日

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「大胆に解釈されたキャラが楽しい一級エンタメ」シャーロック・ホームズ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大胆に解釈されたキャラが楽しい一級エンタメ

2010年3月22日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

知る人ぞ知る名探偵ホームズの映画化をガイ・リッチーがやると聞いた時は、正直どんな作品ができるのか全く予想できなかった。
彼の映画は好きだが、何せデビュー作から現在まで、一貫して現代ロンドンの下町ギャング物ばかり撮ってきた監督だ(『スウェプト・アウェイ』? え、何それ?)。
僕も小中学生の頃に原作シリーズはひと通り読んだクチなので、今回のホームズが原作破壊も甚だしい映画になっていないかちょっと心配だったが……。

杞憂でした。僕個人としては大いに満足。
原作の設定は忠実に守りつつも、エンタメ映画としての趣向が凝らされていて楽しめる。

まず不穏な空気漂う19世紀ロンドンの再現が雰囲気たっぷりで素ン晴らしい。ハンス・ジマーの手掛けたミステリアスなスコアと相俟って、開巻10秒でスクリーンの向こうへ連れて行ってくれる。

だが最大の魅力は、原作からかなり大胆に解釈された各キャラの面白さ。どのキャラもステキだが、やはり主役の2人が良い。

はじめにワトソン君。
元軍医だから銃の扱いや格闘にも慣れていて、脚の負傷がもとで使っている杖は護身用の仕込み杖!
捜査の手助けは勿論、社会不適合者ギリギリなホームズに手を焼きつつも精神的に支える、ホームズにとって心強い相棒であり親友。

そしてホームズ。
一瞬の動作や見た目から相手の経歴や弱点を見抜いたり、超常現象じみた事件を豊富な科学知識で説明したりと、その驚異的な観察眼・知識は遺憾無く発揮される。
おまけに腕っぷしも超強い。原作のホームズも拳闘がプロ並みに強いが、彼の観察眼を格闘シーンに織り混ぜたアイデアは秀逸。
普段がダメダメ人間なだけに、『やるときゃやるぜ』的なカッコ良さが堪らない。

だがストーリー展開にはやや難ありか。
各謎解き要素がブツ切りに配置されているため、一本の線で綺麗につながった出来の良いミステリー映画とは言い難い。話の運びがやや強引な部分もチラホラあるし。

もうひとつ難を挙げるなら、アクションシーンの物足り無さ。ハイスピードカメラや逆回しを駆使した映像のキレは抜群だが、大掛かりなシーンとなるとスケール感やメリハリは今ひとつ。
もともとガイ・リッチーはキレの良いアクションが得意な監督だと思うが、メジャー大作向きな長めのアクションは不得意なのかも?

まあそこは続編に期待ってことで。次回は遂にアイツが登場するようだし、今から楽しみだ。

<2010/3/13鑑賞>

浮遊きびなご