「愛するものを失いたくないばかりに、最大限の医療行為を受けさせる事について考える。」私の中のあなた かげまさかんさんの映画レビュー(感想・評価)
愛するものを失いたくないばかりに、最大限の医療行為を受けさせる事について考える。
タイトルから、お姉さんに臓器提供をしたアナの腎臓の話しかと思いきや、それは違います。
始めの主人公アナのナレーションで、「私は病気の姉のドナーになるために生まれてきた」って言うのが、主人公の思い込みかなあなんて思っていたのが、実は本当に遺伝子操作されて、ドナー目的で生まれてきたのがアナだったという事にはだいぶ引きました。
さすがにそんなことをする母親はいないと思いますが…
この映画をみて、小児病院でナースをしていた頃を思い出しました。
病気のお子さんを持つ母親は本当に必死で我が子を守ろうとして、夜叉にでもなる勢いです。子どものために自分の思いつく(ここがこの映画でも表現されていますが)「良いこと」を全て実行しようとして、それに反対するものは敵であると思ってしまうのです。
それをちょっと離れたところで俯瞰してみている父親に対して、一生懸命さが足りないように感じたり、不信感や怒りや、敵対感情を持つ方もいて離婚してしまう方もまあまあいます。
そして、兄弟に置いてもこの映画ではとても良好な関係でしたが、愛情不足を感じて嫉妬してしまい、それを悪だと感じてしまっている兄弟もいます。
なぜアナがドナーになりたくない為に訴訟を起こしたのかが、最後のほうでわかります。
自分のエゴのために、人はそこまで強くなれないかも知れません。
生きると言うことは、物理的に生かされているのではないと言うことに気づく大切さを、
愛するものを失いたくないばかりに、最大限の医療行為を受けさせることについて考えてほしい。
ただ、我が子が白血病になったら、やはり私も夜叉になっちゃうかもです。
キャメロンディアスの演技は素晴らしく、母親の必死感が表されていました。
「マスク」や「メリーに首ったけ」の時からほんと素晴らしい女優さんです。