劇場公開日 2009年4月18日

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「反吐が出そうで、目が醒めるような傑作」スラムドッグ$ミリオネア k.moriさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5反吐が出そうで、目が醒めるような傑作

2010年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

単純

幸せ

反吐が出そうなほど汚く、家畜以下でしかない極貧の子供達。しかし圧倒的なインパクトと力強さと存在感。どうしようもなく単純なストーリーだけど、これほどまでに1シーン毎に感動的なのはなぜだろう。恐らく今の日本人がまったく同じストーリーで映画を作ったとしても半分のクオリティーも達成できないだろう。筋書きなどいらない。この人間力、生命力。しかしインド人というのは気性が荒いというか、躍動的な国民性なんだなとつくづく感じる。

同じような極貧層の子供に焦点をあてているという点で『シティーオブゴッド』に似た世界観をも併せ待つが、この作品のほうが内容的にはもっと優しさがあるし、内容的にははるかに単純明快だが、何となくシンクロし得るというか、2作同時に楽しむと改めてさまざま感慨深いものがあるような気がする。

最後は、インド映画お決まりのダンスが入る。これを観て北野監督の『座頭市』を思い出した。あのダンスシーンはインド映画からヒントを得たものなのだろうか。あるいは、この映画の監督が、『座頭市』の映画を観て、『逆輸入』する形でこのシーンを入れたのか。ただの偶然なのか。

とにかく理屈抜きに、目が醒めるような作品である。解説は必要なし。ただ観るのみ。

k.mori