劇場公開日 2009年4月18日

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「こんな解釈はいかがですか?」スラムドッグ$ミリオネア 🧿さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0こんな解釈はいかがですか?

2022年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

冒頭と最後に出てくる4択の答え「It is written」は「運命だった」と「創作だった」のダブルミーニングではないでしょうか。
ジャマールがミリオネアを勝ち進めたのは「運命」だったのか、それとも「創作」だったのか。

字幕の通り「運命だった」とだけ受け取ると強引な展開が鼻につきます。
クイズの超難問に自身の経験から解答できるという設定もクセが強いですし
兄サリームの心変わりも突然すぎて不自然です。
「都合良すぎな展開を運命の一言で片付けるのはちょっと…」ってモヤモヤしませんでしたか?

ですがIt is written を「創作だった」という、もう一つの視点を加えて観ると不自然なシーンや違和感が解消されました。
仕掛けに気づくと新しい物語が見えてくるトリックアートの様な構成です。

では映画のどの部分がフェイクかというと、
「ミリオネアへの出場」と「終盤の兄の自己犠牲」
この2点。

現実の時系列はヒロインと駅で引き離された所で一旦止まっています。
実際はミリオネアには出場していませんし、電気ビリビリ拷問もされていません。
超難問が都合よく出題されたのもジャマールが作り出したクイズミリオネアだからです。
(もちろん賞金もゲットしてないです、あのデカい小切手ドウシタノ??)

引き離され、再会できるか分からない。それでも一縷の望みに縋って駅で待ち続ける。
恐らくかなり長い期間待ったのでしょう、ヒロインの顔の傷が塞がっていますから…
駅で待ち続ける中で描いた妄想がミリオネアであり、兄との劇的な復縁だったのでは。

ジャマールがミリオネアを勝ち進めたのは「創作」だったけれど、
過酷な現実を生き抜いて最後にヒロインと結ばれたのは「運命」だった。
人によって色々な解釈ができる内容の映画だと思いますが、私はこのストーリーを推したいです。

🧿
KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2022年10月29日

映画の演出手法としては賛成出来ませんが、解釈を超える素晴らしい分析レビューに感服いたしました。

KENZO一級建築士事務所