グラン・トリノのレビュー・感想・評価
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ハッピーorバッドエンド?
個人的には、今までクリント・イーストウッドの監督主演作品はあまり当たらなかったが、本作はありかな。
手放しにハッピーとは言い切れないが、全体を通してみると微笑ましさの方が印象に残る。
タオに男の会話を学ばせていたシーンは、本当に笑えたし本当にほのぼのできた。
本作の結末について、ハッピーorバッドを討論するのも面白いかも。
ところで、題名は単純に車名ととらえてよいのだろうか。
凄い映画で感心・感動。唯一無二に思える彼の知性・洞察力・監督術は、いったい誰が引き継ぐのだろうか?
クリント・イーストウッド 監督による2008年製作のアメリカ映画。
原題:Gran Torino、配給:ワーナー・ブラザース映画。
クリント・イーストウッド監督作品には、何時も本当に感心し感動させられる。映画文法を踏まえた、一種の魔法の様でも有る。
ラストは良い意味でやられた!と思ってしまった。てっきり最後は、多くの映画同様、機関銃でワル達を皆殺しかと思っていたのだが。自分の命を犠牲にして、あいつら全員を長期間牢獄にぶち込ませる戦略を取るとは!成る程、復讐は復讐を呼ぶので、あのファミリーを長期間守るのにはとても良い戦略か、なんて頭が良いのだ!というか、意外性が有るとても優れもののストーリー・脚本だ。
目の付け所が素晴らしく流石というか、この映画では異人種、具体的にはアジア系の人達との共存共栄が大きなテーマとなっていた。隣人のモン族 は、映画の中でも言っていた様に中国、ベトナム、ラオス等の山岳地帯にすむ民族集団。ベトナム戦争時、米は共産主義勢力と戦うためモン族を数十万人雇ったらしい。戦後は共産党政権に虐待され、難民として欧米諸国に移住。このうち在米モン族は何と約30万人とか、知らなかった。
本物の家族達(息子や孫)と対照的に描写されていた隣家の姉(アーニー・ハー)と弟(ビー・バン)の素直さや真面目さ他人に対する気遣いの深さが、同じアジア人として嬉しかった。オーデションで選ばれ、2人とも映画出演は初めてだと思うのだが、ナチュラルな演技でとても良かった。また監督としてのイーストウッドの演出力の凄さをも感じさせた。ふたりとも凄く目立ってる訳ではないが、プロの俳優になったらしいのは、応援したくなるキャラクター表現だっただけに、少し嬉しい。
クリント・イーストウッド演ずる主人公が、グラン・トリノに象徴される自分が得たものや考え方・ノウハウを、血の繋がった息子や孫で無く、異人種ながら真面目で一生懸命の隣家若者に伝えようとなっていく物語展開も、大きな感慨を覚えるものであった。「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」というが、そういう伝えたい存在が有ることが何より人間の幸せだよなと、イーストウッド監督の想いに共感できた。唯一無二に思える彼の知性・洞察力・監督術は、いったい誰が引き継ぐのだろうか?
監督クリント・イーストウッド、製作クリント・イーストウッド、 ロバート・ローレンツ、ビル・ガーバー、製作総指揮ジェネット・カーン 、アダム・リッチマン 、ティム・ムーア、 ブルース・バーマン。
脚本ニック・シェンク、原案デビッド・ジョハンソン、 ニック・シェンク、撮影トム・スターン、美術ジェームズ・J・ムラカミ、音楽カイル・イーストウッド 、マイケル・スティーブンス、主題歌ジェイミー・カラム。
出演 クリント・イーストウッド: ウォルト・コワルスキー、ビー・バン: タオ・ロー、
アーニー・ハー:スー・ロー、クリストファー・カー: レイヤノビッチ神父、ジョン・キャロル・リンチ。
頑固で不機嫌な朝鮮戦争帰りの年老いた男。 彼の心を開いたのは、隣に越して来たベトナム一家の娘だった。
ラストにベトナムの民族衣装で正装したタオとスーの姉弟が、
悲しみをこらえながら、毅然として葬儀に向かう姿が
この映画のすべてを物語っています。
いかに生きるかということは、いかに死んでゆくかということであり、
意味ある死などないかもしれないが、自分が納得した死に方であれば、
意味のある人生を生きたといえるのではないか。
義を見てせざるは勇なきなり。
懺悔することすら馬鹿らしいと思い込んでいる男の背中を
そっと押したのは新任の牧師だった。周りと同調しようとしない、
頑固で不機嫌な朝鮮戦争帰りの年老いた男。
彼の心を開いたのは、隣に越して来たベトナム一家の娘だった。
唯一会話が交わせるようになり、社会とのつながりが出来かけた時
娘は凌辱され無残な姿で帰って来た。、
一家が一生なき者扱いされることを思うと、
座して死を待つことは自分の心が許さない。
一貫して生きることの何たるかを問うてきたクリント・イーストウッド監督の
ストーリー展開が明確な、見ごたえのある作品です。
アーニー・ハーが普通で気さくな娘スーを好演しています。
少数民族の移民
人種差別、移民、暴力、戦争のPTSD、老後等々いろいろなテーマが合わさった映画と感じましたが、雑然とした感じでもなく、イーストウッドが上手く演じているという印象。
最後の教会での葬儀で、タオとスーが民族衣装の正装で参列しているのは心に残った。
グラントリノで彼方此方走り回って、クズのグループを成敗する物語だと思ったら、最後は哀しい展開だった。
美談っぽくしてない?
食器棚みたいのを殴るシーンで、このじじいは基本的に後先考えずに行動する人間なんですわ。
だからギャングに対しても、あんな中途半端な行動をとったんですわ。
白人だからベトナムギャングを皆殺しにしたところで正当防衛で無罪だよ。
枯れた老人
朝鮮戦争での経験が原因で(恐らく)心を閉ざし、身内にも虐げられている頑固親父のウォルト。
ある日隣に越してきた「モン族」という民族の家族と交流することで徐々に心を開いていく…。
というありがちな話。
ストーリー展開もベタだと思います。
「運び屋」を鑑賞した時にも思ったことですが、
クリント・イーストウッドは「枯れた老人」の哀愁を表情や声の調子で表現するの演技がほんとに上手い。
だからベタな展開でも飽きることなく、ましてや映画世界にどんどんと引き込まれながら鑑賞できる。
宣教師に「懺悔」をするシーンで自身の朝鮮戦争での行いを懺悔しなかったのだけど、
異民族であるモン族を「守る」ために自身を犠牲にした最後のシーンで腑に落ちました。
その行為自体が、ウォルトなりの「懺悔」であり、
「俺が決着をつける」という言葉には、自分の人生にもケジメをつけるという意味も
込められているのだろうな思います。
渋いジジイだ。かっこいい。憧れます。
「生」に詳しくない男のグラントリノ
クリント・イーストウッド演じるウォルトという男は稀代の正直者なのだ。正直だから懺悔は好まない。それは彼にとっては一世一代の大仕事。
「触るものみな傷つける」という勢いの頑ななウォルト。愛した妻の死で孤独と頑なさに拍車がかかっている。
この作品では若い牧師がいい味を出している。彼の指摘は正しい。ウォルトが詳しくなってしまったのは「死」であって「生」ではない。正直な彼は自分がおかしたことをごまかせずにいるので、「死」と「罪」への意識が常態化しどう生きるのか考えることがうまくこなせないでいる。
彼はうまく子供と向き合えず子供とも孫とも絆を持ててない。だから彼は大事にしてきたグラントリノを託す気になれないでいる。未来への手がかりがない。
そんな彼が未来への手がかりを得る。痛みを負いながらも熟考し動き出すウォルトのあの一日は、彼にとって「生」の実感を憶えるのに十分だったんじゃないか。
大事なのは時間の長さでもなく血縁でもなく、希望なのかもしれない。
ラストシーンには希望がみえた。
元軍人で、軍人時代の傷を持ち続け、不器用で家族ともうまく行かなかっ...
元軍人で、軍人時代の傷を持ち続け、不器用で家族ともうまく行かなかったウォルトがアジア系の隣人と知り合うことで変わり始める。
あまりに不器用すぎるけれども、行動で示した最後に涙した。
切ないけれどもすごくウォルトがカッコよくて、最後のクレジットといい、余韻といい、良い映画だった。
1人の侍を見た。ラストは突き放され、作品に抱きしめられる
イーストウッド作品はほぼ全て観ていますが、
ナンバーワンは「ミリオンダラー・ベイビー」
本人が出ていないけど「アメリカン・スナイパー」と「ジャージー・ボーイズ」「チェンジリング」
今までこの4作品が大好きでした。
ここに、この「グラン・トリノ」が加わりました。
・・・実は観るの3回目なんですけど、今回が一番涙出ました。
退役軍人で偏屈な老人、奥さんにも先立たれた主人公ウォルト。
戦争の傷も深く、余程過去に色々あったのか、人に心を閉ざし、平気で人種差別もする。
それが隣にモン族の家族が越してきてから、変わり始めて…
とりわけタオとスーの姉弟と言葉を交わすうちに、人間らしい心を取り戻していくウォルト。
タオを息子のように厳しく優しく寄り添う。
宝物のグラン・トリノの古き良き輝きと、
枯れゆく中にも人との出逢いによって溶けていくウォルトの心。
いい人過ぎないのがいい。
頑固なくらいでちょうどいい。
遠慮なく物を言ってしまうけど、心根は優しい人。
悪縁である親戚のごろつき達の悪行はエスカレートし、
良かれと思って起こしたウォルトのある行動がきっかけとなり、更なる不幸が姉弟を見舞う。
怒りで手が震えるほどの鬼畜の行いに、思わず身を乗り出す私。
これ以上は詳しく書きませんが、
ウォルトは人生の最後に、大仕事をやってのける。
「自分の行いの落とし前は、自分でつける」
ここに、1人の侍の姿を見ました。
言い訳もしない、逃げもしない、
ただ、助けたかっただけなんだ。
力になりたかっただけなんだ。
許してほしい。
これで、チャラだろ?
そんな声が聞こえてくるようでした。
衝撃的な結末を迎え、タオの運転するグラン・トリノを颯爽と映して、ジ・エンド。
あまりのショックに呆然とし、
突き放されたような感覚で眺める景色。
エンドロールに流れるイーストウッドの静かな歌声が心に沁みて、涙とまらん。
この作品の余韻感、半端なく大きい。
勘弁してほしい。
めちゃくちゃいい物観せてもらいましたよ。
感謝しかありません。
間違いなく、後世に語り継がれるイーストウッドの代表作。
イースト選手の最高作かも
ハリー・キャラハン以来のはまり役です。
やっぱりこの人はダーティな正義漢がピッタリ。
しかし、のっけからバリバリ頑固なクソジジイ全開で痛快。
予備知識ゼロだったのでベトミン話とはおそれいった。
トランプ支持者ってこんなカンジ何でしょうね。アメリカ・ファースト。
グラン・トリノ
クリント・イーストウッド好きだか見てなかった作品。内容を全く知らなかったのでアジア人がメインだとは思わなかった。近所のおじいちゃんと少年の成長の話は本当に泣ける(ヴィンセントが教えてくれたことetc...)ただ、あの作品より朝鮮戦争のヒストリー、人種の違いなどの問題を描いてる点。グラン・トリノとクリントの骨董品のかっこよさがよりこの作品を輝かせてると思った。
孫を悪く描きすぎちゃう
人間関係を築くのが難しい頑固じじい。戦争経験がそうさせたのか?
そんなじじいが隣に引っ越してきたモン族と次第に心通わしていく。
スーを助けてやりタオを一人前に育てていく。
それが親戚の悪にメチャクチャにされる。
今まで彼らにしてきてきたことに疑念を持ってしまうが決断した行動は・・・
想像がつかなかった結末、さすがと言うほか言い様がない。
主人公の人間の大きさを感じた。
スーもタオももっと一緒に過ごしたかったに違いない。
物語の最後にグラントリノに乗ったタオが海辺の道を飛ばしていくのは意図的だったのかもしれないけれど隣に彼女は乗っていなかった。迎えに行くところと思っておこう。
二人の姉弟がどんな風に生きていったかわからんけれど二人ともタフな奴。
おれは心配してないよ。
エンディングの歌は最高だった。
そして、も一つ、床屋のじいさんも最高。
最後に神父さんにも礼を言っておきたい気分だ。
頼んないと思ったけれどじいさんに成長させて貰ったね
ギブアンドテイク
頑固ジジイで息子家族からは嫌われている。ただ隣に越してきたモン族とは仲良くなり、、。
どなたかのレビューで書いてあったが、息子家族はイーストウッドから貰うことしか考えてないが、モン族の人たちは与えていた。
ギブアンドテイクが大事。
最後のグラン・トリノが走るシーンカッコよかった。唯一の走行シーン?
イーストウッドもモン族の兄弟も神父もかっこよかった。
病気で余命短かったからモン族のため、自分のためにあんなラストだったのだろう。余命短いから無茶する主人公、他の映画でも見たことある。なんだっけ。
田舎の方はまだあんなにアジア人差別あったりするのかな、、。
何かが足らない
前々から気になっていた作品を今更みてみた。
結論から言うと、気の抜けた炭酸といったところか。
役者としてのクリントイーストウッドの凄みがある。
監督作品としてのフォーマットを踏まえていて『なるほど』と思えるところもある。
ただそれらが調和が取れているかというとそうでもなかった。
老いた白人老人の末路を描きたかったのか、
アメリカ社会で揉まれて成長するアジアン青年を描きたかったのか、
古き良きアメリカから変貌する社会の憂を描きたかったのか、
いまいち焦点が合わないまま終わってしまった。
決して駄作ではないけどイーストウッド以外が主役をやった場合、
同じ評価を得られたかどうかは怪しい。
逆を返せば、彼がいかに偉大な役者だと言うことが分かるといった意味では偉大な作品。
運び屋の時にも感じたけど、老いが故の苦悩を格好良く見せるのではなく、泥臭いまま若い世代にぶつける彼の作品を見てみたいと思った。
報復の仕方
アメリカは生活の中に銃があるから、単純な喧嘩で済まなくなる。
タオは急に心開いた感があった。そして低い声で堂々と話しすぎな気がした。
やった、やられたで、最後はさぞ派手に復讐しに行くのかと思ったら‥。
良かったけど、個人的にはさほど評価高くなく、3.5。
モン族を初めて知った。
終の映画
内容はクリントイーストウッド原作の映画で自分の死期を悟った老人の家族不和と隣人のアジア人家族との家庭を交る心の交流を描いた希望的思想作品。『この勲章をお前にやる!』『家の中で一度ぐらい煙草吸ってもいいだろ?!』の言葉は覚悟が伺え号泣止まりません。演出や演技では、流石クリントイーストウッド!だからこそ絵になったのかもしれません。グラントリノの歌も良かったですし、葬式で始まり葬式で終わる所なんか上手いなぁと思います。それに寄り添う取り巻きの心の機敏が伝わってきました。グラントリノに乗って‥何か?!後世に残したかったのかも?!。人間は何か生きた証を残したい生き物なのかもしれません。
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