「義憤、銃、人種主義」グラン・トリノ よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
義憤、銃、人種主義
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義憤。自分の家族とは断絶状態の白人男性。妻の葬儀では、参列者を前に居心地の悪さを隠さない、気難しいその老人が、隣家の黄色人種の少年とその家族のために命を捨てる。その少年との短くも濃厚な交流の中で、彼は銃を使って冗談を言ったりする。銃が日常に存在する光景は、われわれ日本人には奇異にすら見える。同じ民族のギャングから銃による脅しを受けている少年に対して、たとえ冗談でも銃口を向けることにたいする批判の視点は、この映画からは見えてこない。まずは、社会に銃ありきなのである。
そして、隣家を襲ったギャングに対する憎悪と復讐心が、ただただ正当化される。そして彼は、自分が犯罪者となることなく、彼らを半永久的に社会から抹殺する方法を選択する。そこには銃社会への反省や批判の精神がどうしても読み取れない。何故なのだろう。
そうだ、イーストウッドは、全米ライフル協会の重鎮なのだ。
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