「自己の積み上げた歴史という呪いへの解答」グラン・トリノ K犬さんの映画レビュー(感想・評価)
自己の積み上げた歴史という呪いへの解答
学生の頃にDVDで鑑賞して泣き続けた
劇場上映ということでこれは行かねばならぬと足を運びました
自己の歴史が形になっていた日常が壊れていく中で
壊れていく中に新しい日常が作られていく。
それを丁寧に演出していく日常パートは圧巻。
ある種様々な作品によって
想像しやすくなっている基本のような
"アメリカンの誇り"に縋っている主人公が
自分の歴史を作ってきた環境を脅かす他者に対する苦悩
時代の変化により身内にも理解されない、理解できない事で他者を拒絶していく
その日常の中で他者を受け入れ、新たな歴史に進むことを許容し始める迄の演出は、王道であり淡々としていながら飽きさせない素晴らしいものになっていると思う
その中で主人公の取る選択は正しさがあるかどうかではなく
只々、とても美しい。
"あなたの心に安らぎが在らんことを"
"もう安らいでいるよ"
あのセリフのイーストウッドの瞳はこれ以上無いくらい美しく演出されていた。
他者の混入により変化する現代において
一度は観ておきたい名作であるとおもう。
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