「魂の継承」グラン・トリノ えらさんの映画レビュー(感想・評価)
魂の継承
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2回目を見た感想を。
人種も年も違う2人の人生に迷える男同士が心を通わせ、若人の方が成長し、老人がそれを見守る過程を、丁寧な見せ方と味のある演技で描き切った傑作です。
単純に頑固オヤジが隣人一家(一族)と触れ合って丸くなっていく様と、それに伴って少年が成長して行く様が連なってくのを見ているのは楽しいです。特にウォルトが向かいのボロ屋を発見し、タオに修理をやらせて以降は1シーン1シーン2人の絆が深まっていく様がビンビンに伝わってきて、本当に幸せなんですよ。。この息子とかじゃなくてお隣さんっていうのがまた。その橋渡し役となるのがウォルトの愛車のグラン・トリノなわけですが、ウォルトがグラン・トリノを洗車し、それをデッキから眺めるシーンが、さり気ないBGMも相俟ってお気に入りです。
逆に言うと少年と老人が仲良くなるだけの作品なんですが、やっぱりラストのウォルトの決断がこの作品を一層印象深いものにしているんだろうなあと。そしてその後イーストウッドの歌声をバックに走り去っていくタオとデイジーの乗ったグラン・トリノ…。愛すべき頑固爺が死んでしまったのにこの爽やかな鑑賞後感は、やはりタオが彼の魂を受け継いでいるからこそではないでしょうか。それをラストシーンから汲み取れる出来になっていて素晴らしい。
なんていうか、小学生みたいな事を言いますが、(イーストウッドファンは違うかもしれませんが)見る前のゼロの状態から2時間でここまでキャラや人間関係を作り上げ、圧倒的な何かを鑑賞者の心に残せるのはすごいことだと思います。映画ってすごいなと思います。
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