「ある頑固ジジイの生き様」グラン・トリノ SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)
ある頑固ジジイの生き様
私としては「ミリオン ダラー ベイビー」の方が好きですが、これはこれでよかったと思います。クリント イーストウッド出演最後の作品に相応しい内容でした。どちらかと言うと年配向けだと思いますが、何を言わんとしているのかは、わかったと思います。 主人公は妻に先立たれたばかりの孤独な老人ウォルトある日彼の住む隣の家にミャンマー人一家が越してきます。初めはあまり良く思っていなかったウォルトでしたが、彼らと節しているうちに心を開いていき、やがて彼らと不思議な友情が芽生え始めます。 注目はクリント イーストウッドの熱演、作品全体の雰囲気そして、予想を裏切るストーリー展開です。特に中盤から後半のストーリーが非常によく出来ていて、予想を裏切る展開に呆然としてしまいました。私の中盤までの予測では“主人公のガン闘病記”みたいな展開になり、最終的にイーストウッドが病室のベッドの上でウルウルした目で“ボク、生きる資格あんの?”とか言い出すのかと思っていました。しかし、まったく違う方向へ行ったので安心しました。 それから、クリント イーストウッドの演技についてですが、まあ、昔と変わらずキャラはずっと同じなのですが、独特の味とユーモアがあり、つい演じているキャラを好きになってしまいます。他の出演陣も良い味を出していたと私は思います。 それから、雰囲気はイーストウッド作品の「ミスティック リバー」に非常に近いものがあり、安心感とサスペンス感を上手くミックスさせたようなものでした。「ミスティック リバー」の雰囲気が苦手だった方にはオススメできません。それから、リアル感を出す為なのか音楽がほとんど使用されていないのも特徴で、人によっては眠ってしまうかもしれません。 さて、この作品の弱点は一目瞭然です。オープニングからウォルトとミャンマー人少年との交流に辿り着くまでの展開がはっきり言って遅すぎます。私としてはあの当たりをもう少しどうにかしてほしかったです。それから、疑問に思ったのはなぜ、グラントリノが車庫から出たり入ったりしていたのかがよくわかりません。別にウォルトが車を洗っていたわけでもなさそうでしたし・・・何となく不自然でした。 しかし、非常によく出来た作品で若者層にはオススメできませんが、年配層には思い出に残る作品になると思います。