「シャマラン監督のファンタジーを最後まで観たい!」エアベンダー Kadwaky悠さんの映画レビュー(感想・評価)
シャマラン監督のファンタジーを最後まで観たい!
「スポンジボブ」なんかで有名なケーブルテレビのキッズチャンネル「ニコロデオン」で放映された、エミー賞まで取ったアニメ作品が原作なんですねえ。
このテレビアニメ『アバター 伝説の少年アン』の第1シーズンを基に、シャマラン自身が脚本と監督を務めている。
予告編を見る限りでは、ここ最近ブームと化しているアニメの実写化路線とあまりかわりない。ただ原作を見たことがないから、比較的すんなり受け入れられるかもしれない。
ぼくは以前からシャマランがファンタジー作品の監督であると主張してきたが、そういう意味では今回の作品はまさにファンタジーのなにものでもなく、シャマランのこれまでの誤解されてきたイメージを払拭してくれるのではないかと個人的に期待している。
そうして、今回「エアベンダー」を観終わって深く想うのは、次回作が観たい、ということだ。てか、この作品自体、2作目を前提に作られているのは明らかである。だっていきなり、「第1章 水の国」(?)だっけ、そんな始まりだし、ラストもそうでしょ。これはまさに、興行がよければ第2作以降シリーズ化を考えてるとしか思えない。もしかしたら、映画版をとっかかりに、テレビシリーズでという路線もあるかも・・・
しかし、この作品のキャスティングの妙はつくづく奇跡的だと思う。アンの役はたぶん彼しかできないと思う。そういう意味では、はやく次回作を撮っちゃわないとハリポタみたくなっちゃうよって、お話な訳です。
ところで、今回のシャマラン版(と、すでに次回作を前提に、さらにはそれはシャマランではないのでは・・・、という悲観的な思いを込めての表記だが)はやはり無理があった気がする。前提となる世界観がでかすぎるうえに、作中で描かれるべきお話が長すぎる。これを2時間ちょっとでまとめるのは至難の業だと思う。
結果的に、かなり端折られたエピソードの数々に観客は取り残されることになる。アニメ版を観ていることを前提にしている気さえする。
そう考えたとき、蛇足ながら、20世紀少年を映画だけ観た人は多分こんな気分なのかなと思った。そうして、やはり原作のアニメをきちんと見るべきなのかなと思った。ところが、日本ではニコロデオンの放送権を持つケーブルテレビぐらいしかお目ににかかれないアニメであるのだ。3年も前のアニメのくせに日本ではDVD化もされてないらしく、日本ではそれほどでもないようだ。だから、今回の実写映画化を機に原作アニメの日本語版のリリースを切に願うところである。
さて、映画の方だが、スターウォーズを彷彿とする勧善懲悪のグローインアップストーリーなのだが、そこにカンフーなどの東洋的な要素により、ドラゴンボールなどのアジアンテイストが色濃く出てて、日本人的にはとてもなじみやすい作りとなっている。さらには、欧米人や東洋人、黒人(アンの師匠など)と人種入り乱れているのも非常によいキャスティングだと個人的には思っている。
おそらく予備知識なくシャマランのクレジットぐらいで観た人には、しっくりこない駄作に感じただろう、その程度の出来ではある。ただ前提としている世界観を踏襲するためには、次回作を観ないと気がすまない。