「物語よりも主役よりも目立つ母と兄の存在」ザ・ファイター Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
物語よりも主役よりも目立つ母と兄の存在
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
どうしようもない駄目な母親と兄を演じた2人がアカデミー助演賞を受賞したが、実際この2人の存在感が主人公よりも目立っていた。誰かと思って調べてみたら、母親役のメリッサ・レオは「フローズン・リバー」で真に迫る演技をしていた女優だったし、兄役のクリスチャン・ベールは「マシニスト」で凄い減量をして鬼気迫る演技をしていた俳優だった。特に兄役の演技は本物の町の屑役を実にうまく演じていた。公式サイトによると、減量したり髪を抜いたり歯を矯正したりして役作りしてきたそうだ。いつまでも自分を子ども扱いして食い物にしようとする家族のしがらみに縛られて、自分の人生について自分で正しい判断が出来ない主人公にはむしろ苛立ちすら感じた。
後半は物語は自分の予想とは違う方向に進んで、ボクシングだけの話ではなくなるのだが、それで本人たちが上手くいっているのならばそれでいいのだろう。試合の場面もそこそこ面白かったし、自分ならばこんな家族は嫌だと思ったけれども家族の演技と描き方がこの作品の良い特徴になっていた。
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