「殴り合いも罵り合いも他人ごとだからこそ面白い」ザ・ファイター 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
殴り合いも罵り合いも他人ごとだからこそ面白い
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最下層で虐げてられてきた男が己の拳とハートを頼りに、チャンピオンへの階段をのし上がっていくサスセスストーリーは、『ロッキー』から続くボクシング映画の王道を踏襲。
ニュース映像を交えたドキュメンタリー要素の濃い展開で撤退したボクシングへのリアル指向は、圧倒的だが、試合描写以外において新鮮味は少ない。
むしろ、トラブルばかり起こす兄やロクなマッチメイクしないくせに弟のスケジュールを牛耳る母親(メリッサ・レオ)etc.家族間のドロドロした確執がメインとなっており、リング内より外での闘いの方が濃厚に繰り広げられ、圧倒的に興味深かった。
特に利己的拝金主義者の母親の横暴ぶりは強烈で、取り巻きのオンナ子分共を引き連れ、弟の恋人(エイミー・アダムス)とビンタ&髪の毛引っ張り合いのキャットファイトは、ハッキリ云ってボクシングより、断然、興奮する激闘シーンだったと思う。
愛や憧れより憎悪や欲望が、闘志を燃やし、家族を一つにまとめる原動力と化すのは何とも皮肉である。
良くも悪くもやりたい放題の亀田一家が、相変わらず高い注目度を保つのが解る気がした。
では、最後に短歌を一首
『噛ませ犬 しょっぱい拳に 愛ぶつけ 嵐へ挑む リング(戦場)の家族』
by全竜
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