「良い原作が、ズタボロ・・・。悲しい。」笑う警官 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
良い原作が、ズタボロ・・・。悲しい。
佐々木譲原作の北海道警シリーズ第一弾。実際の北海道警裏金事件にインスピレーションを得て原作は描かれており、警察の奥底に巣食う暗部を描いている。元々は「うたう警官」と言うタイトルで原作は出版されていたが、映画化に際して原作の方も「笑う警官」に改題し、文庫化されている。ちなみに元々のタイトルの“うたう”とは、singのうたうではなく、話してしまう(この場合、裏金疑惑を暴露する意)と言う意味。
物凄く辛口です。
原作が面白かったので期待して行ったんですが・・・、完全に外されました。ガッカリです。
原作では、物語に起伏と緊迫感があり、次の展開が物凄く気になって次へ次へと読み進む勢いでしたが、映画化に際しての脚本化が良くなかったのか、話に起伏が無く、凡庸なストーリーになってしまっています。角川春樹氏が自ら脚本を手掛けたようですが、氏の無駄な(独りよがりの)ダンディズムが脚本に入り込んでしまっていて、折角の物語が残念な結果になってしまっています。ダンディズムを語るのは良いですが、他人(この場合は、映画の観客)を巻き込むのは止めて欲しい。
また、ラストの「BLACK BIRD」のシーンの意味が全くわかりません。あれは、何なんですかね? どういう意味? あと、日本映画なのに、エンドロールの文字が何故にローマ字表記? 角川氏の趣味ですか? 悪趣味です。
出演している俳優陣はそれなりにいい演技をしていますが、何か原作とは違う感じなんだよなぁ。佐伯も大森南朋と言う感じでは無いし、小島も松雪泰子のイメージでは全然無いんですが・・・。もっとも、そこはそれぞれに実力のある俳優達なので、演技そのものに問題は全くありません。問題があるとしたら、脚本です。
良い小説が、脚本次第で、良い映画にも、逆に、つまらない映画にもどちらにでも変わると言う事を示した作品だと思います。あんなに良かった原作が、ここまでズタボロになってしまって悲しいです。