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男なんて、もうコリゴリ。でも、子供“だけ”は欲しいの、
と直進し奮闘して分かってくるホントに欲しいモノ。
人気劇団の脚本家としてバリバリ働き仕事は充実している一方で、
偶然であった昔の友人は結婚し、子供までいることに焦りを感じていた
32歳のドラ(ユディト・シェル)。
そんな彼女も、弁護士の恋人と甘い結婚生活まで秒読み、のはずだったが、
彼に妻子がいることが発覚し、裸のまま部屋を追い出されたドラは、
ニヤニヤしている隣の部屋の男に助けられる。
翌日、仕事場に行くと、
昨日助けられた男タマス(シャーンドル・チャーニ)が劇団の新入り俳優で、
TVCMでタトゥー入りのお尻を披露し、
話題になっているプレイボーイで有名な男だったことが判明。
男はもううんざり。
でも、父親はいらないけど、子供は欲しい!
精子バンクの内情を知り挫折したドラは、親友ゾフィ(カタ・ドボー)と
2人である作戦を思いつく。
それは、インターネットを使って、“JUST SEX, AND NOTHING ELSE”
とセックス・パートナーを募集することであった。
開場時間が近くなっても列が伸びていかない、入りの悪い試写会で、
ゲストはクワバタオハラの2人と、精神科医の名越康文先生。
どうしても、ダメな男にいっちゃうとか。
女性はどんな男を選んだ方がいいとか。
クワバタオハラがグチって、質問して、経験を活かして先生が答えて、
面白かったよ。
映画と関係なくても、ちゃんと楽しませてくれるゲストはいいよね。
ハンガリーのいわゆるアラサーたちの恋と結婚の現実を面白おかしく描き、
ハンガリーで20人に1人が観たという大ヒットを記録したこの作品は、
クリスティナ・ゴダ監督の長編デビュー作で、
日本では先に公開された観れてないけど2作目の
“君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956”とがハンガリーで
2006年興行収入1位2位を独占したという。
ハンガリーの映画産業がどんな状況なのかはさっぱり分からんけど、
すごいよな。
仕事は順調でもシングルで、そんな女性が仕事と結婚に悩むのは世界共通。
という感じで、中欧だろうと、ハンガリーだろうと、
歴史を感じさせる街並みも新鮮だし、
そんな中を本当の幸せを求めて奔走し、
ハンガリーの美女2人がああだこうだと、グチをこぼし、悩む姿は、
多くの女性が共感できるのでしょう。
まさに、ハンガリーの“SEX and the CITY”でしょうか。
直進するドラも、恋愛体質なゾフィも、
小悪魔なサティ(オデール・ヨルダーン)も、
結婚30年の大先輩で貫禄を見せてくれる
マルギット(マールタ・マールティン)も。
それぞれの女性の描き方も役者も魅力的でありますし、
それ以上に男たちの描き方も面白い。
広告で集まってくる男たちは変な人たちばかりで笑わせてくれるし、
ドラを悩ませる相手となるプレイボーイのタマス。
ちょっとおっちょこちょいだけど優しいピーター(ゾルターン・セレス)。
おバカだけど楽しませてくれるアリ(オントル・チョプコー)。
男たちの姿を滑稽に描くのは女性監督ならではでしょうか。
その描き方も、エンドロールまで楽しませることを忘れず、
伏線の回収の仕方も手馴れたもので、
部屋の向かいのオバサンの使い方なども面白く、
映画的な面白さの描き方を心得ていて、
これが長編デビュー作というのだから恐れ入ります。
“反恋愛主義”という変な邦題はさておき、そういいながら、
ラブコメとして落ち着く先も納得で、
オッサンも楽しめるラブコメとして十分な面白さでした。
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