「常盤荘の管理人は常盤タカコ」20世紀少年 第2章 最後の希望 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
常盤荘の管理人は常盤タカコ
第1章を観てから我慢できなくなって原作漫画を読破した。ともだちの正体も理科室の謎もわかってしまうと、映画の興味は常盤荘の管理人とユキジ(常盤貴子)がどう対面するかという一点のみ・・・しかし、名前が書かれていただけ。愕然としてしまい、原作にはない小ネタ探しに集中するも、忠実にストーリーを追うばかりのダイジェスト版のような作りにがっかりさせられた。
原作を読んでみたからといって好きになったわけじゃなく、映画化されるとしたら、このシーンがメインになるんじゃないかと想像してみたり、漫画キャラにそっくりだと好評だったキャスティングに期待した程度です。2015年の新たなキャラ、小泉響子(木南晴夏)などはそっくりすぎて驚いたし、そっくりじゃないのにピタリとはまっていたサダキヨ(ユースケサンタマリア)にも満足できました。それに本物のトヨタ2000GTにも感動(でも炎上しないのね)・・・
公開前日に日テレ系で『もう一つの第1章』なるダイジェスト版が放映されましたが、カンナのナレーションで進むというあくまでも第2章を観るための宣伝版であり、“未公開シーン”を楽しむより、カットされまくりで意味不明だったのが残念でした。登場人物名やキャストを復習するには最適だった程度です。
そんな万全の態勢で臨んだ第2章。予想ではバーチャル世界での理科室とオッチョ(豊川悦司)たちが向かう理科室がクライマックスになるのかと思ってたのですが、これがあっさり描かれ、ともだちのパレードという別のクライマックスを用意してありました。漫画は読んでいてもハラハラドキドキさせられたのに、なぜか面白くない。バーチャル世界と現実世界を同時に描くことによる混乱を避けるための脚本かと思うけど、原作の構図そっくりに撮ることも裏目に出てしまったのかもしれません。そんな中、もっとも面白かったのがお面を取るとユースケサンタマリアの顔だったというシーン・・・あまりにも予想通りだったので笑ってしまいそうになった。
原作で好きだったのが、カンナがカリスマ性を発揮してローマ法王暗殺計画を阻止すべくタイマフィアと中国マフィアをまとげあげるところでした。これもクライマックスとして成立する部分なのに、ローマ法王が訪日する気配すらありませんでした。そして最大の謎“ともだちの正体”も明かされない・・・まぁ、これは第3章まで引っ張るつもりだろうからしょうがないか・・・
パレードで暗殺されたともだちが3日後に復活し、キリスト以来の神の誕生劇。本来のともだち(誰かは明かされない)は死んでしまい、第2のともだちが成りすますという展開になっていくはずですが、復活したともだちの声がユースケサンタマリアだったような気がしてなりません。サダキヨが死んだという事実もないし、もしかすると原作とは違う結末になるのかも・・・
ともかく宗教と一体となった政治への批判、国民の洗脳、そして細菌兵器の恐怖というものをまざまざと見せつけられたといった感想。復活劇は胡散臭いものの、数多くの悲劇を経験すれば騙される人が多いということだろう。
尚、遊び心を感じ取れるのは、膨大な数の犠牲者の碑で、五十嵐長介の名の上に原作者の名前があったところくらいか・・・「俺が救世主だったのか」もいい!
【2009年1月映画館にて】