「よければ箱の中身を教えてください・・・」ソウ5 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
よければ箱の中身を教えてください・・・
改めてシリーズ前4作を復習しました。『3』では元祖ジグソウのジョン(トビン・ベル)も愛弟子ジグソウのアマンダ(ショウニー・スミス)もジェフに殺されシリアルキラー伝説も終焉したかと思われたのに、同時進行的な『4』では新たな後継者ホフマン(コスタス・マンディロア)が出現する。
残酷極まりない殺人マシンを開発しておきながら「殺人は嫌いだ」と言ってのけるジョンに比して、アマンダは被害者に命の選択肢を与えておきながらも殺してしまうという、麻薬中毒の影響で狂った部分も見せる。と、新たなジグソウの性格やいかに?現職刑事がシリアルキラーになるんだったら鬼に金棒・・・かなり恐怖です。
予習バッチリだったおかげで、前作からの流れがわかりやすかった・・・というより最低でも「4」を観ていないとさっぱり理解できない映画だと思われます。ホフマン刑事がジョン=ジグソウの協力者、後継者であることが前提であり、彼らの接点がいかに生まれたかといったホフマン・ビギニングの性格を持った内容なのだ。たしかに、ジョンやアマンダの体力や情報収集力だけでは不可能だと思える事件を上手く後付けで説明している・・・けど、説明やメイキングを観にきたんじゃないし・・・
冒頭ではセスという男がギロチンで殺されるという残酷描写だが、命の選択肢を与えておきながら無慈悲にも命を奪ってしまう。「人殺しは嫌いだ」というジョンのポリシーと違うところに驚かされるが、これが実はホフマンの単独犯行だとわかる。「人のせいにしやがって」とジョンが怒って、ホフマンに試練を与えることによって彼の運命が決まる。ジョンからすれば復讐にだって生きるチャンスを与えているのだと説くところが興味深い。
予告編にも登場する首かせをはめられた5人の男女。『CUBE』のようなサバイバル・ゲームはサブストーリー的な扱いになってはいるが、ルールとヒントを大切にすれば死なずにすむんだといった点ではストラムFBI捜査官の末路と同じ。たまには極悪人の意見も受け入れなきゃだめだよ!という教訓めいた結末だ(おいおい・・・)。
ジグソーパズルのピースを埋めていくことがこのSAWシリーズの意味だったのか。元妻ジルが受け取ったジョンの遺品の箱を謎のまま残し、全貌はまだまだ明らかにしてないよ!と続編を意図しているような台詞に食傷気味になりそうです。ただ、疑われて窮地に立たされたホフマンの明晰な頭脳には恐れ入った。最前列で見るのが好きといった性格も受け継いでるし・・・とにかく次回作でジルと対決して気持ちよく幕を閉じてくれ!
【2008年11月映画館にて】