アンダーワールド ビギンズのレビュー・感想・評価
全15件を表示
バンパイア族と人狼族の因縁の始まり
バンパイア族と狼男族との因縁の争いを描いてきた、『アンダー・ワールド』シリーズの3作目。しかし本作は、これまでの争いの原点とも言える部分を描いた、前2作の前章譚となる本作。これまでは2作は、バンパイアの戦士・セリーンを主役に、人狼との激しい戦闘を描いてきた。しかし、本作は、一度狼に変身すると、二度と人間の姿には戻れないウイリアム人狼族とは違い、人間に戻る能力を備えて誕生した、ライカン族のルシアを主人公とし描いている。
そして、バンパイア族と人狼族の確執は、元を辿るとバンパイア族が人狼族を虐げ、奴隷として扱ってきた、恨みや辛みがあったことが、本作を通して明らかになって行く。また、ビクターの娘の女戦士・ソーニャとライカン族のルシアとの、決して結ばれないラブ・ストーリーの果ての悲劇も重なり、一気に、人狼族への同情と共感が高まる内容となっている。
バンパイアの長老のビクターは、ルシアが誕生した時に家族を殺し、ルシアも殺そうとしたが、昼間も活動ができ、狼から人間に戻るルシアの能力を利用しようと考え、育てることにした。時が経つ中で、ルシアは、ビクターの命令通りに動く奴隷として生きてきた。そんな中、ルシアは、ビクターの娘・ソーニャとの禁断の恋に落ちる。
それを知ったビクターは、娘とルシアの不義密通に怒り、ルシアを鞭打ちにする中、娘のソーニャを、日光に当てて死刑にしてしまう。そのルシアの怒りが、これまで虐げられてきた人狼族に伝わり、一致団結して打倒バンパイアを掲げ、バンパイア城に一気に雪崩れ込み、戦闘を開始する。追い詰められたビクターの運命は…。という展開。
90分という短い上映時間の中に、起承転結がハッキリしていて、内容も分かりやすく、面白く鑑賞できた。そして、当然、1作目のセリーンが主役となる『アンダーワ―ルド』に繋がるラストも、しっかり食い込ませていた。
ソーニャとセリーンは、瓜二つの女バンパイアということで、当然、セリーンを演じたケイト・ベッキンセイルが、ソーニャも演じると思っていたら、ローナ・ミトラが演じていた。確かに2人はよく似ているし、ローナもアクション映画への出演も多く、納得できる配役だった。ルシア役には、これまでも多くの映画やテレビドラマで活躍してきたマイケル・シーンが、体当たりのアクションに挑んでいた。
前作ではビクターの秘密が明らかにされた。すなわち、ビクターがヴァ...
前作ではビクターの秘密が明らかにされた。すなわち、ビクターがヴァンパイアの始祖ではなく、コルヴィナスこそが始祖であり、彼らは互いの利益のために契約をしたのだと・・・今作ではそのビクターの悪の面を存分に見せてくれる。1作目の『アンダーワールド』でも少しだけ覗かせてくれた、ビクターの娘ソーニャ(ミトラ)とライカンのルシアン(シーン)との悲恋が中心だ。
このローナ・ミトラはケイト・ベッキンセールにかなり似ているが、元々ビクターがセリーン(ベッキンセール)を処刑人として育て上げた経緯も亡くした娘に似ているからという理由だったことが1作目で言及している。劇場で観たときには過去2作を忘れてしまっていたため感動してしまったけど、復習のため過去2作を見てから見ると、重複部分があるので評価も下がってしまいました。ただ、2作目で主要キャラがほとんど死んでしまったため、こうした過去に戻る作品を作るしかなかったのだろうし、後の続編のために上手く挿入されてたんだね・・・
メインはあくまでも2人の悲恋だけど、奴隷として冷遇されていた狼男たちがルシアンによって新種の血を分け与えられ、脱走・反乱をする描写が見事。ビクターは死んだようにも見えるけど、死なないんだよな。こうやって見直すと、やっぱり1作目が一番いいね。
ちなみにライカン以前の狼男たちは、マーカスと双子の弟であるウィリアム直系の獣として扱われている。
シリーズに更なる深みを
少し泣けます。。。
戦いの根源
話は予想通り
ケイト・ベッキンセールは出てない…けど、シリーズ初めてでも見れる親切な作り
シリーズ3作目は、時代を遡り、ヴァンパイアとライカンの争いの起源。
ならば、シリーズを見ていないと話についていけない?…いやいや、シリーズを見ていなくても案外見れる親切な作り。
自分も初見の時、「1」「2」を薄らぼんやりとしか覚えていなかったのにも関わらず、一本の映画としてすんなり見れた。
物語は、ライカンのルシアンとヴァンパイアのソーニャの「ロミオとジュリエット」のような悲恋。
これまでセリーンが主人公だったので、どうしてもヴァンパイア寄りの話だったが、今回ルシアンを主役にした事により、初めてライカン寄りの話に。敵役のイメージが強かったライカンの、ヴァンパイアに虐げられてきた過去が明かされる。
ルシアン役は引き続きマイケル・シーン。このシリーズで交際していたケイト・ベッキンセールが監督とくっついちゃったのにも関わらず、律儀に出演。
ソーニャ役のローナ・ミトラはベッキンセールにそっくりでびっくり。見ていると、ベッキンセールにしか見えなくなってくる。ビクターがセリーンを生かしておいた理由も納得?
銃から剣へ、舞台の中世がゴシックの雰囲気をさらに掻き立て、シリーズでは一番楽しめるかも。
実はシリーズで1番クオリティが高いのでは?
ケイト・ベッキンセールが主人公を演じた前2作は、2作目で話が破綻して何でもアリになってしまっていたので、シリーズ3作目の「ビギンズ」にはあまり期待はしてなかったんですが、シリーズの世界観を引き継ぎつつ、1本の映画としても楽しめる作品にしっかりと作り上げていたので、ちょっと驚きました。
何より物語がしっかりしていたし、コスチュームやアクションもマンネリになりつつあったブラックレザー&ガン・アクションから脱却して、剣技を駆使した迫力あるアクションが白眉でした。特にライカンの集団が大バトルを繰り広げるシーンの迫力が凄くて必見!
また、ずっとシリーズのプロダクションを手掛けてきたパトリック・タトポロスが監督を務めているだけあって、映画の世界観はシリーズを踏襲しているので、安心して観られました。ということで、手堅く楽しめる拾い物の1本でした。
全15件を表示