「とっても意地悪で、(他人事だと思うと)とってもおかしい。」それでも恋するバルセロナ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
とっても意地悪で、(他人事だと思うと)とってもおかしい。
アレン監督初鑑賞。
トーキー映画を観た気分。
映画の半分以上、説明台詞(主観)。
他の映画なら、映画なんだから映像と演技で見せてくれよと毒付きたくなるのに、
この映画だと、まあ許せるかなと思ってしまうのが、演出の妙なんだろうな。
この説明台詞によって、過度に登場人物に感情移入しない。
隣の家で起こっていることを見ている気分になる。
主題歌?の使い方がものすごくうまい。この歌のテンポにのっていつの間にか最後まで観てしまう。
主演がヨハンソンさんになっているけど、見事な群像劇。
男一人に女3人の入り乱れ + 一組の夫婦。
愛って、恋って、人生って何だろうと言うのが、大上段でなく、スキャンダラスなネタを散りばめて描き出される。
こそばゆい。
一人ひとりの人生にあまり踏み込まないから、うまくまとめられたんだろうな。
すごく感動するとかではないけど、心の隅をかき乱される感じ。
「ないものねだり」を思い出させられる。
自分ではない何かを欲しがる。
圧倒的な才能の前に、現実を突きつけられたり。
理想の人生に、自分でケチをつけたり。
ぶち壊したり。
”こうありたい”が、かき乱されていく…。
登場人物は、とりあえずその人なりの鞘に収まるけど、また何かあるんだろうなというのも予感させる。
そんな彼らの胸中を、のぞき見して、クスクス笑っているような感覚。
なんとも底意地の悪い映画。
でも、はまる人の気持ちもわかるような気がする。
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