それでも恋するバルセロナ : インタビュー
ウッディ・アレン監督最新作「それでも恋するバルセロナ」は、バカンスでバルセロナを訪れた2人の女性、恋愛保守的なビッキー(レベッカ・ホール)と恋に積極的なクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)が、ひとりの男フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)を巡って繰り広げるラブロマンス。そこへ男の元妻マリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)も絡んできて、それぞれの恋は思わぬ方向へ……。今回は、そんな本作でウッディ・アレンと3度目のコラボとなったスカーレット、アカデミー助演女優賞を受賞したペネロペ、そしてアレン監督の3人のインタビューをお届けする。(取材・文:はせがわいずみ)
スカーレット・ヨハンソン インタビュー
「私とウッディは、友人同士で一緒に仕事できることに感謝している」
――ウッディ・アレン作品への出演も3本目ですが、あなたはウッディ・アレンの新しいミューズだと思いますか?
「必ず聞かれる質問ね(笑)。私もウッディもその答えはいつも“ノー”よ。だって、そういうんじゃないんだもの。私は単に、彼の作った若い女性のキャラにピッタリだっただけ。ジュディ・デイビスやダイアン・ウィーストが、ある種の役にピッタリなようにね。私とウッディは、友人同士で一緒に仕事できることに感謝している。だって、楽しく素敵な時間を過ごせるんだもの。いつも相手を理解しようとするし、隙あらば笑わせようとする。ウッディとの仕事でサイコーなのは、毎日彼とおしゃべりをしたり、邪魔をしたり、つつき合ったりできることよ。そう、彼をつつくの。“起きているか確認したかったの”っていう調子でね(笑)」
――クリスティーナと自分自身の相違点、共通点があれば教えてください。
「彼女の生き方には共感するわ。だって彼女はどちらかと言うと、今を生きようとするタイプで、目の前にチャンスがあればそれを逃さない。そんな前向きな態度は私と似ている。でも、私とクリスティーナは確実に違う人間よ」
――クリスティーナは時々、自分がどうしたいのか分からず困惑する瞬間を味わいます。同じような経験はありますか?
「もちろん。誰でもそんな瞬間を味わったことがあるはずよ。どこに向かっていいのか分からなくなってしまう瞬間をね。ただ、キャリア上ではそういう経験はないの。自分がしたいこと、行きたい方向がいつもハッキリしているんだもの。ものすごくラッキーだと思うわ」
――女友達と旅行して、お互いやりたいことがまったく逆だった経験はありますか?
「私には、すごく親しい女友達がいて、お互いの興味の対象はかなり似通っているの。だから私たちは友人なんだと思う。感謝の気持ちを感じる対象も同じなら、やりたいと思うことも同じ。でも、異性関係となると、みんなそうだと思うけど、いろいろ違う面が出てくる。友達の彼氏についてどう思うかとか、彼女が自分の彼氏についてどう思うとかね。
女友達の素晴らしいところは、そういうのを話せるってこと。ほかの女性の視点からの意見を聞いて、安心できるからよ。クリスティーナとビッキーのようなシチュエーションになったことはないから何とも言えないけど、彼女たちはあの夏、お互いとても違う場所にいることに気付き、離れていくことになったんじゃないかと思うの。ひとりはもうすぐ結婚し、保守的な人生を歩もうとしているのに、もうひとりはまだ学生気分で、自分が何をしたいのか分かっていない。2人は、迎えている人生の局面が全然違うのよ。親しくても、成長の過程で離れてしまうことってあるでしょ。2人の場合、劇中迎える夏がそうだったのよ。アメリカに戻る頃には、お互いとても違うって気付くことになっていたのよ」