シャンハイのレビュー・感想・評価
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豪華な俳優陣。
この作品、渡辺謙は過去に断っていたらしい^^;
なんでまた出る気になったん?と思わせる選択に首を
傾げたくなるところだが、もう出ちゃったんだから仕方ない。
しかも彼は、彼でなければね!な演技をちゃんと見せる。
ホントに豪華な顔ぶれが揃った作品。
どうなんだろう、新旧取り揃えて(ほとんど旧ですけれど^^;)
まぁ~豪華なこと!なので彼らの演技を見る分には、そして
レトロな上海の雰囲気を楽しむには、まぁまぁ観られる作品。
が、まったく盛り上がらない地味な諜報活動(なのか?)と、
なにこれ恋愛映画なのね??な展開と、あの娼婦のどこが
イイわけ??(いちばんの謎だ)…と、分からないことだらけ。
第二次大戦前の上海…う~ん、、なんか違う気がしますねぇ。
まぁでも。
そういうすべての謎を取っ払って(これが出来れば観られる)
俳優の演技に全神経を集中させ、あー謙さんの目線がイイ♪
とか、コン・リー相変らず色っぽい!とか、JC頑張ってるな!
とか、凛子は普段から病気に見えるぞ!なんていう^^;思いを
募らせつつ、脇も凄いぞ~vD・モース!貫録たっぷり~とか、
F・ポテンテ美人になったじゃん!とか、やっぱり超ユンファ♪
なんてまぁ、いろいろ思いつつですね、レトロな雰囲気に浸る…
頑張りましょう!(ってのも変だけど^^;)
謎、はもちろんあるんだけど、けっこう簡単にネタが割れる。
コワイコワイ顔のタナカ大佐(謙さん)がホントにコワイ演技を
するんで、どうなるんだろう!この先…(ドキドキするのは最後)
って、あそこはホント良かったんだけど、その先はどうなんだ?
主人公の独白・回想がメインになるこの話、確かにその時代、
上海は揺れに揺れたんだろうが、ややもした期待が揺れに揺れる
観客の気持ちはどうすればいいんだろう?けっこう年配の観客層、
隣の夫婦は直前まで食べていた巻き寿司?(いいのか、持ち込んで)
を、ラストでまたモリモリと食べ始めてしまった…。それが答えか^^;
私的には久々にちょっと意外なJCが観られて、そこはまずまず。
(豪華にするんなら脚本も豪華に練ってね。でないと映画が揺れるわ)
コン・リーと菊地凛子、好きな女優がふたりも出て、期待して観たのだが・・・
まず、歴史背景が複雑で人物の相関図もややこしいこの作品、そもそも104分にまとめるのは無理というものだろう。
ミカエル・ハフストローム監督がとった手段は、主人公のポール・ソームズに語らせることだった。映画が始まると同時に、上海の置かれた歴史的背景から自分が上海に来た理由まで、すべて語りで済ませてしまう。その後も語りは止まらない。
観ているこちらは、段々語りを聞き入れることが慢性化してきて、画面や台詞から何かを汲み取ろうとか探ろうという意識が知らぬ間に欠如してしまう。
後半に入って、コン・リー演じるアンナの正体が明らかになり、せっかく物語に弾みがついても、どうせ語りが説明してくれるだろうと、タカをくくって思考回路は眠ったままだ。ところが、さすがにここにきて語りがガクンと減ってくる。慌てて、思考回路のスイッチを入れるが間に合わない。非常にスリリングな展開も、これでは存分に楽しめない。
あと30分掛けてでも、当時の世界情勢と上海という“魔都”の概要を語り無しで描いてほしかった。それでこそ、「Shanghai」というタイトルが生きようというものだ。
そして危険な愛の行く末を暗示するラストの“せっかくの語り”が、多すぎた語りのなかに霞んでしまって、ちっとも印象的でなくなるのだ。
p.s.1 あとで読んだが、チラシ等で、人物の裏の顔や具体的なストーリー展開にまで触れているのはどうかと思う。先に読んでいたら、もっとつまらない映画になるところだった。
p.s.2 “語り”に翻弄されたせいか、空母「加賀」に代わって寄港した空母の名前を忘れてしまった。聞き覚えのある艦名だったが、有名な艦名なら「加賀」同様、真珠湾攻撃のため択捉の単冠湾に集結しているはずで腑に落ちない。参加していない空母で有名なのは「信濃」だが、この艦は就航前に米軍の潜水艦によって沈められている。もし「赤城」だとすれば、「加賀」を追わねばならず、11月はじめ頃の話ということになる。どうも時間軸がはっきりしない映画だ。
艦名を思い出したいが思い出せない。ハァ~
p.s.3 同じく、空母を護衛しているのが駆逐艦ということだったが、どう見ても船影は大和型戦艦で小さな駆逐艦ではない。ところが大和型戦艦だとすると、当時「武蔵」は就航前、「大和」は就航直後で山本五十六が乗る旗艦となり瀬戸内海にいたはずだが・・・。
見間違いか、はたまた記憶違いか?
脚本が中途半端に思う
まず思ったことは、悪者は日本人なのね。
そもそも、日中戦争は日本から仕掛けたものではないということ。
中国の≪嫌がらせ≫から始まったはず。
にも関わらず、日本の悪いこと、悪いこと!
もうこれ以上見たくないよ!と思えるくらい。
そんな冷徹な日本人の代表のタナカを渡辺謙さんが演じる。
感情を表に出さず、論理的で冷徹な男。
そんな男が、実は全くの悪人ではなく、何か理由があるはず・・・と思わせる演技はさすがです!!
人に、酷いこと、悲惨なこと、そんなことを顔色一つ変えずに行動させる。
そんな≪戦争≫というものを、謙さんが上手に演じておられた思う。
美女コン・リーの、感情をあまり顔に出さずとも、妖艶で謎めいた表情は、惹きつけられる。
チョウ・ユンファ、出番は少ないが、要所要所を引き締める存在感はさすが!
菊地凛子さん、ほんのわずかな出番で、作品の鍵を握り、とっても贅沢な使い方だと思った。
ジョン・キューザック、う~~ん、ありきたりすぎたかな~。
脚本のせいだと思うけど、この人のキャラを変えることで、もっと作品がおもしろくなったと思う。
サスペンスなのか、ラブストーリーなのか、戦争ものなのか、すべてが中途半端になってしまっていた。
でも、≪戦争≫というものは、人道や愛を簡単に壊してしまうものだというメッセージは、しっかり受け止めました。
アジア版カサブランカと称するべきか…
二等兵の生き様を泥臭く描いた『一枚のハガキ』が記憶に新しいだけに、サスペンスタッチで、全く異質の角度で進む戦争映画は感慨深かった。
敵国の侵略が進み、身動きが取れない地域で、各国の思惑が飛び交う中、命懸けの探り合いを繰り広げ、騙し討ちを仕掛けるシチュエーションは、往年の名作『カサブランカ』に近い。
皮肉混じりの掛け合いや淡いラブロマンスも織り交ぜているので、アジア版『カサブランカ』とでも呼ぶべきであろうか。
ただ、主役の諜報部員を演じたジョン・キューザックにダンディズムも影の魅力も微塵も感じなかったのはイタい。
一瞬、デーブ・スペクターかと思った。
むしろ、敵方の渡辺謙大佐やチョウ・ユンファ親分の方が苦味走るぐらいオーラ全開だったので、完全に存在感を喰われてしまっている。
私情に政情、そして、慕情が忙しなく疑惑の渦に混合されていくため、展開を追うのがやっとで、『カサブランカ』のような胸に響く哀愁は一切なく、観終わった後、何も残らない。
結局、目撃者の菊地凛子は何やったんやろ?
んまぁ、ストーリーより各国代表の演技合戦に重点を置けば、そこそこ楽しいかな。
特に、主人公を翻弄する香港マフィアのマダムを妖艶に演じたコン・リーの美貌は冴え渡っていて、虜にする。
本当の主役は間違いなく彼女だ。
ボギー曰わく
「君の瞳に完敗」ってなもんである。
では、最後に短歌を一首
『燃ゆる賭場 仁義賭け引き 博徒の眼 嵐の一手は 愛に背いて』
by全竜
戦争前の混沌とした上海
見ごたえじゅうぶん!
映画自体は歴史認識を改めるほど重い内容ではなく、
エンターテイメントとして楽しめる。
世界の半分の国が戦争状態。
約70年前はそういう世界だった。
当時の上海は色んな国の租界があり、
その地域には治外法権が認められていて、
日本軍が幅を利かせていたらしい。
多種多様な文化が融合し、
カジノ、アヘン、娼婦・・・
上海はとても魅力的で狂気的な町になっていたみたいだ。
ストーリは単純でアメリカの諜報員が
同僚の死について調べていく、
良くあるというか、先の読める展開で安心してみれる。
メインキャストの5人もそれぞれ見せ場があり、
テンポもよくツリー・オブ・ライフを見た後ということもあり、
映画を観た満足感が得られた。
サスペンス映画としては全然、ハラハラ、ドキドキもしないが、
エンターテイメント映画として観れば普通に楽しめる。
スパイアクションとしても、ラブロマンとしてもイマイチ。演技は良いのだが。
抗日レジスタンスがメインになっていてむやみに中国人を殺戮する日本軍のあくどさが際立つ印象の作品となっていました。なかでも、劇中で抗日ゲリラが語る言葉に、南京のように上海も虐殺されると断定している台詞が出てきます。そういう点で、本作は日本を戦争か外国として断罪する国策作品ということができます。こういう作品が量産されることで、中国ばかりかアジア全体に、いつまで経っても日本の戦争犯罪が断罪されることになりかねないでしょう。本当に南京市民を虐殺したのなら、謙虚に反省すべきでしょうが、やってもいないことを決めつけられて断罪されるのは、日本人として許しがたいところです。
当初渡辺謙は、本作への出演を断るつもりでした。そのためか、演出側は、渡辺の演じたタナカの最期を封じ、蛇足ように復活してくるシーンを付け足しました。まるで主役におもねるのが見え見えなエンドシーンだったのです。それを含めて、やはり出るべきではなかったと思います。
物語の舞台は、日本軍による米ハワイ真珠湾攻撃直前の1941年の中国・上海。最近の中国の歴史ものは、セットのリアルティと規模が凄いのです。上海の街。妖しいまでのきらめき、むせ返るような空気感。国際色豊かな人々…。本作でも当時のままの市街地が再現されています。しかも、『孫文の義士団』同様に、奥の奥の込み入った路地まで丁寧にセットされているのです。セットはロンドンとタイで撮られたそうですが、実際に戦前の上海という街はこうだったのだろうと思わせる雰囲気が漂ってきます。これにアジアの名だたる名優が、力演するわけですから、雰囲気としては申し分のない仕上がりでした。加えて、当時の上海は、日本や欧米列強などさまざまな勢力が入り乱れて活気に満ち、各国の情報機関が激しい情報戦争を展開することで「魔都」と呼ばれていました。映画の舞台としてはミステリアスな意趣に包まれてうってつけの舞台といえるでしょう。
冒頭米国諜報員コナーが何者にか忙殺されます。同僚で親友であった情報員ソームズは現地に赴任し、友の真相を知ろうと調査に乗り出します。
作品の宣伝では、スパイアクションとしてPRしていますが、スリリングな描写は少なく、関係者への事情聴取に明け暮れるは、刑事ものかと見まごう乗り。まるで犯人捜しのサスペンスの前振りのようで、いささか眠くなりました。
途中に、ソームズが日本軍の軍事機密を奪おうとドイツ将校の夫人と接近して、情報を撮影したり、逆に抗日ゲリラが情報網を屈指して、日本人将校を暗殺したり、緊迫する場面はあるのですが、イマイチ盛り上がりません。
なかでも不満なのが、ハワイ真珠湾攻撃の機密情報がクライマックスになっていないことです。コナーの殺害を調べていたソームスは事件の黒幕にタナカが関与していることを突き止めます。そして、コナーが調べていたのが日本艦隊の所在であり、上海の港に停泊していた空母「加賀」、忽然といなくなったこを突き止めたことが殺害の理由だったようなのです。
それを知ったソームスとタナカの間で激しい情報戦争となるはずなのに、物語はあっけなく日米開戦に突入します。しかもタナカは、開戦の機密情報は知らされていなかったとソームスにいうのです。これには興ざめしました。
二人が激しくぶつかるのは、コナーとタナカの共通の恋人だった娼婦のスミレの奪い合い。ソームスはスミレの身柄を押さえれば、コナーの殺された理由が分かるものと躍起になっていました。タナカはタナカで、スミレに未練があて探していたのです。そこに、スミレを人質にしてタナカと取引したい抗日ゲリラの思惑もあり、三者三様の事情がスミレの奪い合いニアミスするラストは、激しいアクションを取り混ぜ見せ場にはなっていました。でも、スミレを押さえてどうなるのよという疑問はぬぐえなかったです。
さらに、ラブロマンとしてもイマイチな心象となりました。
ソームスは、冒頭タナカの紹介で、裏社会を牛耳るランティン(チョウ・ユンフア)に接近します。そして、その妻アンナに心ひかれます。魅力的なアンナは抗日組織と通じているらしく、ソームズは避けようもなく、陰謀の渦に巻き込まれていくわけです。スパイと抗日運動を題材にしたラブストーリーの趣をもたせていました。アンナとソームズの関係がどうもすっきりしないのですね。夫に嫉妬されるまで接近しながらも、最後まで一線を越えませんでした。なぜなんだろう?
タナカを演じる渡辺謙も含め、日米中のスターをそろえた顔ぶれが豪華ではあります。登場人物のキャラは、際だって演出されています。本当に、同じような立場の実在の人物がいたようなのです。ということでミカエル・パプストローム監督は手堅い演出ぶりで、脚本が惜しいと思います。
ところで本作は、プロデューサーのマイク・メダヴォイの意思が強く反映されているようです。「シャッターアイランド」「ブラック・スワン」など数々の話題作を手がけてきたメダヴォイは、なんと映画の舞台と同じ41年上海生まれ。この街に特別な思いを抱いているに違いないことでしょう。
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