劇場公開日 2011年8月20日

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「コン・リーと菊地凛子、好きな女優がふたりも出て、期待して観たのだが・・・」シャンハイ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5コン・リーと菊地凛子、好きな女優がふたりも出て、期待して観たのだが・・・

2011年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

まず、歴史背景が複雑で人物の相関図もややこしいこの作品、そもそも104分にまとめるのは無理というものだろう。
ミカエル・ハフストローム監督がとった手段は、主人公のポール・ソームズに語らせることだった。映画が始まると同時に、上海の置かれた歴史的背景から自分が上海に来た理由まで、すべて語りで済ませてしまう。その後も語りは止まらない。
観ているこちらは、段々語りを聞き入れることが慢性化してきて、画面や台詞から何かを汲み取ろうとか探ろうという意識が知らぬ間に欠如してしまう。

後半に入って、コン・リー演じるアンナの正体が明らかになり、せっかく物語に弾みがついても、どうせ語りが説明してくれるだろうと、タカをくくって思考回路は眠ったままだ。ところが、さすがにここにきて語りがガクンと減ってくる。慌てて、思考回路のスイッチを入れるが間に合わない。非常にスリリングな展開も、これでは存分に楽しめない。

あと30分掛けてでも、当時の世界情勢と上海という“魔都”の概要を語り無しで描いてほしかった。それでこそ、「Shanghai」というタイトルが生きようというものだ。

そして危険な愛の行く末を暗示するラストの“せっかくの語り”が、多すぎた語りのなかに霞んでしまって、ちっとも印象的でなくなるのだ。

p.s.1 あとで読んだが、チラシ等で、人物の裏の顔や具体的なストーリー展開にまで触れているのはどうかと思う。先に読んでいたら、もっとつまらない映画になるところだった。

p.s.2 “語り”に翻弄されたせいか、空母「加賀」に代わって寄港した空母の名前を忘れてしまった。聞き覚えのある艦名だったが、有名な艦名なら「加賀」同様、真珠湾攻撃のため択捉の単冠湾に集結しているはずで腑に落ちない。参加していない空母で有名なのは「信濃」だが、この艦は就航前に米軍の潜水艦によって沈められている。もし「赤城」だとすれば、「加賀」を追わねばならず、11月はじめ頃の話ということになる。どうも時間軸がはっきりしない映画だ。
艦名を思い出したいが思い出せない。ハァ~

p.s.3 同じく、空母を護衛しているのが駆逐艦ということだったが、どう見ても船影は大和型戦艦で小さな駆逐艦ではない。ところが大和型戦艦だとすると、当時「武蔵」は就航前、「大和」は就航直後で山本五十六が乗る旗艦となり瀬戸内海にいたはずだが・・・。
見間違いか、はたまた記憶違いか?

マスター@だんだん