劇場公開日 2009年11月20日

  • 予告編を見る

「タラの映画愛」イングロリアス・バスターズ xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5タラの映画愛

2009年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

「キル・ビル」も見てないし、僕はタランティーノという監督にあまり、
興味がなかったのです。人をバッタバッタ切りまくる映画って
好きじゃないなと思ってたから・・・。
でも、この映画に興味をもったのは、2つのストーリーが最後に重なる
って記事を見たから。それは今読んでる村上春樹の「1Q84」の手法
に、とても惹かれているからです。

全部で5章から成り立っているんだけど、冒頭のシーンといい、全体を
貫く過剰な表現といい、それらのシーンを盛り上げる音楽にしても、
どっかで見た感じだなと思ったのです。
そうです。あのマカロニウエスタンなのです。
映画の3要素だと僕が考えてる①映像のつくり方、②ストーリー性、
そして、③キャスティングどれも完成度は高いものがありました。

まず、映像は、こってりとした濃い目のトーン。
マカロニ・ウエスタンをベースにフランスのかおりもって感じで、
なかなか構図なんかも洒落ていた。

次はキャスティング。
ブラピのレイン中佐はいつも眉毛をハの字にして、声も一段階
ハイトーン。骨太で頼りがいのあるリーダー役になりきっていた。
ブラピがはじめてブラピがカッコいいなと思いました。
ヒロインのメラニー・ロランはちょっとカトリーヌ・ドヌーブに
似ている。フランス人らしいアンニュイ名雰囲気で、プライド高い
復習のおんなをを演じていました(肩のほくろは気になったけど)。
そして、共通の敵であるナチスの軍人役クリストファ・ワルツ
の陰湿さは、際立っていた。小賢しく、陰湿な敵役としては、最高の
役者だと思った。

ストーリー性は、クライマックスにふたつの物語が最後に
結びついて、カタストロフィをもたらすという映画そのものの意図。
大好きな映画のなかに、ナチスを追い込んで叩き潰すという作戦。
タランティーノ監督の映画愛がこんな作戦を立てさせたといえるの
ではないか。
ちょっと過剰でドギツイ描写では、顔をしかめるところもあるには
あったが、全体に格調が高い作品になっていると思った。

タランティーノ監督は、ビディオショップの勤めていた。
(おそらくタダで)ありとあらゆる映画を見まくったのだろう。
そして、自分はその風貌からしてもメジャーな映画という
よりも、B級映画にその愛をみたような気がする。

でも、そのB級的視点は、いまや普遍性を持ち始めているの
ではないかと思う。

xtc4241