劇場公開日 2009年11月20日

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「あの人まで死んでしまう、タランティーノの騙し討ち」イングロリアス・バスターズ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あの人まで死んでしまう、タランティーノの騙し討ち

2009年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

知的

しゃがれた音の「アラモ」のテーマと、往年の西部劇が使いそうな字体を使ったオープニングだが、騙されてはいけない。哀愁のかけらもなく、マカロニ・ウエスタンのごとき第1章が始まる。そもそも、予告篇からして騙し討ちである。予告篇からはグロいカットが除去され、いかにも脳天気なコメディーを装っていたではないか。
ではリアルな戦争映画かといえば、そうではない。まったくといっていいほど、前線の撃ち合いなど出てこない。むしろ戦争の裏舞台で行われる、米軍、ナチ、ユダヤ人三者による追いつ追われつの狩を、ドタバタに描いてみせた作品だ。史実を逸脱しながらも、静々(意外におとなしい展開なのだ)と盛り上がる復讐劇は、一点の終結へと向かう。残虐なナチも戦争が終わって軍服を脱いでしまえば、一般民衆に紛れてただの人。それを許さない確固たる意志が存在する。だから、「お金を返す」と言われたからって第3章で出てはならない。
クリストフ・ヴァルツ演じるランダ大佐は、非情な悪人だが、どこか憎めない魅力があり、彼こそこの作品の本当の主役だ。ショシャナを演じたメラニー・ロランも魅力的だ。

見終わった直後:★2つ、一晩たって★3つ、もう一晩すぎたら★4つ・・・てな作品。

マスター@だんだん