劇場公開日 2009年11月20日

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「復讐のカタルシス」イングロリアス・バスターズ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0復讐のカタルシス

2009年11月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

クエンティン・タランティーノの初戦争映画です。
ブラッド・ピット主演です。

うぅ~ん…今作で敷居を下げたのか上げたのか……
この映画…タランティーノ初体験の人には、少々ドギツイかもしれません。
エグさグロさがタラ映画史上№1です(実際、そのシーンでは客席から女性の悲鳴が聞こえましたw)
まあ、グロあってのタランティーノなんですがw
ブラピ目当ての女性客には災難だったかも…

それでも、面白さタラんことはありませんでしたよw
勿論、全額返金は求めませんでしたw

今回のタラは、オフザケ度が多少ナリを潜めた印象です(飽くまで多少)。
んで、率直に思ったのが、タラは円熟期に入ったのかなあと…静から動へのスイッチの切り替えがかなり絶妙なんです。
タラお得意のなっがい洒脱トークから、突如始まるジェノサイド。
とにかくこれの繰り返し…前作『デス・プルーフ』あたりで味占めたのか、それとも最初から持っていたのか…
だから和気藹々のバーのシークエンスにさえ、こっちは気が抜けない訳です。
堪りませんw

そこから紡がれていく女性の復讐…バスターズ達の殺戮…ナチス掃討作戦…
自分は、戦争映画のカタチを借りた“復讐劇”として、この映画を受け取りました。
当然、観客は復讐を誓うメラニー・ロラン扮するショシャナに感情移入していく訳ですけど(ブラピへの感情移入はちょっとw)、この復讐のテンションが終始貫かれてるもんですから、クライマックスに訪れる彼女の悲しい結末より、彼女が願っていた復讐が達成されていくシーンで、悲劇性よりむしろ奇妙なカタルシスを感じてしまうんです。
それで鑑賞後は何故か気分が爽快に……今迄、戦争映画で爽快になれただろうか??

タラの映画ってプロット自体はそんなにヒネったり、ドンデン返し的要素ってないんですけど、観せ方が他の監督と違うんですよね。逸脱してる。そこに魅了されるし、病み付きになる。
またまた次回作が楽しみです。

頭皮剥ぎシーンはトラウマになりましたがw

ロロ・トマシ