イングロリアス・バスターズ : インタビュー
ナチスに家族を皆殺しにされ、パリで映画館を経営しながら復讐の機会をうかがっているユダヤ人少女ショシャナに扮したメラニー・ロラン。26歳という若さながら映画出演作は20本を数える彼女に、オーディションの思い出やタランティーノ演出についてなど、本作出演の感想を聞いた。(取材・文:若林ゆり)
メラニー・ロラン インタビュー
「クエンティンの映画には出たかったから、うれしかったわ」
──ショシャナ役を得るためのオーディションは、どのようなものでしたか?
「最初はクエンティンと台詞のやりとりを演じたの。ほかのキャラクターはすべてクエンティンが演じて。2度目はパリで、ツォラー役のダニエル・ブリュールと2人のシーンを。最後は、選考に残った4人の女優がパリでクエンティンとディナーをした。その後やっと、『俺のショシャナになってくれる?』って言ってもらえたの。私はハリウッドに野心があるわけじゃないけれど、クエンティンの映画には出たかったから、うれしかったわ」
──クエンティンはショシャナとツォラーの最後のシーンを「まるでロミオとジュリエットみたいだ」って言っていましたが。
「そうね。カンヌで並んでこの映画を見たとき、彼は『どうだい? 俺はいつもロマンティックな映画を作ってるわけじゃないけど、このシーンはロマンティックに仕上がっただろ? 音楽もいいよな?』って私の方を見たのが印象に残ってる(笑)」
──ショシャナについてはどう思いましたか? あなた自身も強い女性というイメージがありますが。
「そうね。かなり似てるんじゃないかな。私ってすごく反逆児なの。警察とか、権威のあるものにはつい反抗したくなる。世の中の不正や不公平を感じると、「許せない!」って戦いたくなるタイプなのよ(笑)」
──今回は初めて、慣れないハリウッドスタイルでの撮影で、しかも大作。プレッシャーやストレスを感じたことは?
「プレッシャーはやはり、すごく感じてたわ。国際的なスターがたくさんいたし、みんなが期待しているのはひしひしと感じていたから。でも、これはクエンティンの作家主義的な作品だし、フランス映画と変わらないところもあったの。ハリウッドの、まるでマシーンで撮っているような感じはまったくなかった」
──クエンティンの演出はどうでしたか?
「彼ほど素晴らしい演技指導をする監督には、出会ったことがないわ! 彼は俳優たちをすごく愛しているの。恋していると言ってもいいくらいにね」
──クライマックス、大きなスクリーンの中で英語の台詞を話しますね。脚本には「フランス語で」と書いてありましたが……?
「それは私のアイディアなの(にっこり)。実は、その台詞のフランス語訳があまりよくなくて。言ってみたんだけれど、英語の端的さ、明瞭さがどうしても出ないのね。それに、あれはドイツ人たちへのメッセージだから、伝わらなきゃ意味がないでしょ? だから英語にしようって提案したの。クエンティンは最初から賛成してくれたわけじゃなかった。で、ひとまずフランス語でやってみたんだけれど、そしたら『やっぱりそれはやめた方がいいな』って(笑)。いい経験になったわ」