ロルナの祈りのレビュー・感想・評価
全4件を表示
『イゴールの約束』『ある子供』の ジェレミー・レニエが良かった。 ...
『イゴールの約束』『ある子供』の
ジェレミー・レニエが良かった。
ああいう役柄だけど、どこか憎めない、
そういうキャラクターが似合う。
“映画は世界の実践である”とダルデンヌは語る。
だから登場人物をある社会状況に依存した人物にするのだと。
まさに社会の枠に閉じ込められた主人公が
どういう選択をするかは、我々の身にも十分に起こりうるので
その選択から目を離せない。
言葉では言い表せないですね。
ある子供のときも思いましたが、この監督の作品は感想をどう書いても途中で手が止まり、削除してしまいます。
なんて言ったらわからないんだけど、心の奥に残るんですよね。
でも普通に考えたら、あの女性はあの後どうなるんだろうか…。
赤ちゃん(?)を守ろうとした事を後悔する日が来るのだろうか…。
どうか立ち直って強く生きていてほしいです。
真実の愛とは?
『ある子供』『息子のまなざし』で有名な
ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督作品。
この殺伐感、斬新さ、相変わらずです。
最も肝心なところで、投げっ放しにしてくれるところ、
ぶった切ってくれるところが、またツボでもある。
そう、そこは自由に考えさせて、ってところを
監督は絶対に自分の感情を押し付けたりしない。
ロルナは国籍取得と金の為に、好きな男と
ヤバい世界に足を踏み入れるんだけど、所詮は素人。
悪にはなれない。
そこから、本当の愛や生きる上で大切なものを学ぶ。
噛めば噛む程、味が出る。それがジャン=ピエール・ダルデンヌ作品。
ホントのフランス映画が好きな方には、オススメです。
不都合な現実。
名画座にて。
この名画座では、ダルデンヌ兄弟もお気に入りのようで^^;
よくかけてくれる。
おかげさまで…気付いたら、彼らの作品は全部観ている。
切羽詰まった緊張感とか、ずっと後ろ目線のカメラ撮りとか、
音楽などまったく使わない人たちだったと思う。
だから今回は、ちょっとビックリした。あまりにも普通で…。
まぁいつも通り、唐突に話は始まるんだけど(説明すらない)
観ていく中で主人公に感情を巡らせるように作られている。
このロルナという女性は、実はアルバニアからの移民で、
ベルギーで国籍を得る目的で偽装結婚し(つまり組織に加担)
相手の麻薬中毒患者を最後には殺そうと謀っている…という
いわば、れっきとした犯罪者側なのだ。
まったく穏やかな話ではないのだが^^; 彼女にとっては、
その相手は誰でも良かったわけで、金と国籍が欲しいだけ。。
なので、相手に対して冷たく振る舞い、話も聞いてやらない。
ところがその相手の方は、彼女が生きる糧となってしまった。
彼女を希望として、クスリから足を洗おうと努力さえする。
とはいえ…行きつ戻りつの禁断症状でxそうは巧くいかない。
そうこうしているうちに、次のお相手、ロシア人との再婚を
狙う組織は、サッサと男を始末しようと手配し始めるのだが…。
まったくもって、恐ろしい話だ。
私たち日本人には、おそらく身近に想像すらつかない。
驚くほど質素で真面目な生活ぶりから、困窮と麻薬という
どっちが地獄だ?的な物質をはじき出し、さらにその中へ
人間的な愛情まで芽生えさせてしまう、という…物凄い
化学反応を狙ったつくりに感じるが、話は最後までシンプル。
彼が、どうなって。彼女が、どうするか。
そして彼女は、ラストでなにを祈るのか…。
いつものように兄弟は、犯罪者を犯罪者としては裁かず、
深遠な癒しの世界へ引っ張っていってしまうのだが、
今回はエンディングに音楽を入れることで、更に高めている。
(結局、自分に嘘をつかない生き方がいちばんなんだわね。)
全4件を表示