ハート・ロッカーのレビュー・感想・評価
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観る者もまた中毒者である
戦争の当事者たちの麻薬のような中毒性。しかし、
観ている視聴者自身も戦争を観ることに中毒しているのではないのか?
そう考えると、傍観者もまた関係者なのである、と思わずにはいられない。
いや戦争や麻薬に限らず、中毒性というものは誰しもそれに弄されるリスクを抱えて生きている。映画、読書、音楽、スポーツ、仕事、家庭生活、子育て、etc。
日本人にとっての、あるいは私自身にとっての中毒性というものを考える。
この映画を「映画として観る」だけではもったいない。
ハート・ロッカー
死と隣り合わせの日常を生きるアメリカ軍爆発物処理班の男たちの姿を力強く描き出した緊迫の戦争アクション。
テロの脅威が続く混沌のイラク・バグダッドを舞台に、
爆発処理チームのリーダーとして新たに赴任した破天荒な主人公ら3人の兵士が尋常ならざるプレッシャーに晒されながら爆弾解除に取り組むさまを、
徹底したリアリズムで生々しくスリリングに捉えていく。
実に7年ぶりのキャスリン・ビグロー監督作品です。
女性なのにこれほど男臭い映画が撮れるのには感心する。
爆弾処理やゲリラとの戦闘の緊張感はただごとではなく、
終始緊張感のある展開は、
見終わった後はめっちゃ疲れました。
誰もが命を落としうる戦場のリアリティを追求するため主要キャストを有名スターではない若手俳優を抜擢したのは正解だと思います。
驚いたのは豪華俳優陣のサプライズ出演でした。
請負チームリーダー役のレイフ・ファインズ、
マット・トンプソン軍曹役のガイ・ピアース、
リード大佐役のデヴィッド・モース、
コニー・ジェームズ役でエヴァンジェリン・リリーが限られたシーンの中で存在感を発揮。
イラクでのリアルをアメリカ目線で描いた映画。カメラワークやリアルな...
極限状態。
●職業に貴賤なし。というけれど。
分厚い防護服。えっでも素手なの? そうか。人が解体するんだね。爆弾を。
そして緊張感でヒリヒリする。あっという間に心は かの地に連れて行かれる。
紛争地の日常がまざまざと描き出される。「アメリカン・スナイパー」もそうだけれど、これが戦争なのだ。現場に出たら生きるか死ぬか。そうかと思えば現地の子供とのたわいない会話もある。大上段からの加害者vs被害者の構図ではない。彼らの職場は戦地なのだ。格差社会でも稼げる職業。
悲しいかな戦地には中毒性がある。生きている実感が得られるというか、やりがいがあるというか、圧倒的に必要とされるから、彼らは再び戦地に向かうのかもしれない。先進国が軍備増強をやめないのは、もちろん対テロもあるが、裏側のこうした側面もあるからなのかもしれないと思い知らされる。
「大人になると、あんなに好きだったものが特別でなくなる。特別なものは1つくらいだ。」
アメリカのスーパーに並ぶ膨大な種類と数のシリアルたち。彼らの職場とのギャップを思うと、なんともやりきれない。
AIはじめ、人類の科学技術はものすごい勢いで発達していて、機械が爆弾解体できる日はそう遠くないかもしれない。でも、ホントはこんな仕事なくなった方がいいに決まってる。そんな日が早く来るように、人類はソフト面でも進化が必要だ。
戦争の意味
最近戦争映画を見るようになった。
今作で気づかされたのは、戦争にたいする考え方が日本とアメリカでは本当に違うのだということ。
日本では戦争は絶対的な悪とされ、兵士と言う職業は生と死を分ける仕事で他の職業とは大きな差がある。しかし、アメリカ人はそうは思っていないのかもしれない。肉体労働の最強版ぐらいの立ち位置なのかもしれない。アメリカンスナイパーで戦地から帰国した兵士たちがPTSDに悩まされ自殺する人がたくさんいるということを知ったが、それもビジネスマンで働き過ぎや職場環境のストレスで鬱病になり自殺する人と同じくらいに考えているのかもしれない。
しかし、よくよく考えてみると、学歴がないと経済的に成功することが難しい日本では勉強が得意な人にっとてみれば優位かもしれないが、運動神経がよく勉強が嫌いな人にとっては絶望的な世界なのだろう。
戦場で必要とされる人物というのは、厳しい訓練を乗り越えられ、上下関係が得意で、勇気がある人だ。ほら、たくさんいそうである。そういう人たちが戦場で成果を挙げれば、学歴がなくても国の英雄になれたり、そこそこいい暮らしが送れたりするのである。
この映画でも描かれているように戦争というのは敵国の人間を殺すだけでなく、救いもする。命のリスクを冒してまで救うのだから真剣に感謝される。感謝された時の高揚感、自分が誰か(国)のために役立っているという必要とされているんだと感じる気持ち。爆弾を処理すればするほど、周りから賞賛された時の嬉しさ。それらの気持ちが兵士を戦場に呼び戻し続けるのだろう。
もし戦争がアメリカから消えたら、彼らはどうなるのだろうか。どこに生きがいを見出すのだろうか。見出せられるのだろうか。世界は平和に果たしてなるのだろうか。戦争がなくなったらこの世界はどうなるのだろうか。
戦争ジャンキー
商業主義の権化
派手な演出、エグい画、起伏の激しい展開、
そしてアメリカの正義を高らかに主張する対テロ戦映画。
アカデミー賞を目標に作られたんだろうなという内容。
演出や表現の手法がとても高度で、内容関係なしに生理的に反応してしまう。
アクション物としては秀逸だと思う。
一方で、戦争を題材にしてはいるが、
両陣営の文化の違いや政治、宗教観などはろくに描かれない。
心情描写も、派手な演出でゴリ押ししているだけで、
一般人が戦争災害として適当に思い描ける程度の描写しかなく雑。
ようは化学調味料をしこたまぶち込んだラーメンのような内容なので
そういうものとして出されればそれはそれで美味しいのだが、
なんかそこを隠して三ツ星料理に見せかけようとしているというか
高尚な社会派映画を気取っているらしいのが妙に癪に障る映画。
傑作。
傑作
視点は新しいが
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