劇場公開日 2010年3月6日

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「イラクの兵士と市民の置かれた状況の疑似体験をさせてくれる」ハート・ロッカー Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0イラクの兵士と市民の置かれた状況の疑似体験をさせてくれる

2014年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

興奮

難しい

総合80点 ( ストーリー:65点|キャスト:75点|演出:95点|ビジュアル:80点|音楽:65点 )

 イラクの治安維持は、誰が敵で誰が市民か判断が出来ず、いつどこから攻撃されるかわからないという不気味さがある。まるでドキュメンタリー作品のような現実感があって緊張感の張り詰める現場の雰囲気が伝わってくる。与えられた役割や義務を無視した主人公のとる勝手な行動には実際の戦争経験者からの批判もあるようだが、とにかくこれだけイラクにおける米軍の行動に肉薄した質感が素晴らしい仕上がり。「ブラックホーク・ダウン」ほどの派手さはないが、真剣な演出はそれによく似ている。それなのに、この映画はわずか1500万ドルの低予算で制作されたというのだから驚くばかりだ。
 物語は一応危険に対する中毒ということが取り上げられてはいるものの、日々危険に直面する兵士の姿をひたすら描くだけで大きな流れはない。しかしそれがイラク市民と米軍兵士の置かれた状況の一端をイラクにいない視聴者にも理解させてくれるし、死をもたらすものたちが自分のすぐ近くのあちらこちらに潜んでいて、それらが突然に正体を現して襲い掛かってくるという怖さが映画としての面白みになっている。

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Cape God