劇場公開日 2010年3月6日

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「向こう見ずな主人公は戦争の狂気が作り上げたものなのか…」ハート・ロッカー KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0向こう見ずな主人公は戦争の狂気が作り上げたものなのか…

2025年4月12日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アカデミー作品賞受賞のこの映画、
起爆方法と破壊力が場面場面で
都合良く使い分けられ過ぎている傾向を
感じたものの、
緊迫感に溢れた作風に引き込まれた。
しかし、何故か初めに観た時の印象が
あまり残っていない再鑑賞となった。

爆弾(こちらは地雷)処理兵の話となると、
やはりアカデミー作品賞を受賞した
「イングリッシュ・ペイシェント」
のインド人工兵を思い出すが、
この作品での主役、レイフ・ファインズが
出演していたことには驚いたが、
冒頭のガイ・ピアースと共に、
名のある俳優が登場後直ぐに戦死するという
チョイ役出演にも更に驚かされた。

理解不能なのは、主人公の軍曹が、
何故、こうまで向こう見ずなのかという
点なのだが、
ベッカム少年への思い入れから、
一人危険な地域に入り込んだり、
離縁している家族との関係から想像すると、
危険な行為への強い使命感というよりも、
作品冒頭での“戦争は麻薬である”
とのテロップもあり、
ある意味、戦争の狂気が作り上げた人物
としたかったのだろうか。

更に、反戦意図的に印象的だったのは、
主人公がスーパーに買い物に来たシーンで
映し出された膨大な数の食料陳列。
その直前の荒廃したバグダッドの街とは
対極に感じている中、
そもそもが、やはり印象的だった冒頭での
米軍の戦闘車両がイラクの街を
我が物顔で進むシーンからして、
監督の戦争に異議を唱えることからの
描写なのだろうが、
やはり、戦場における兵士の心理を描いた
イーストウッドの「アメリカン・スナイパー」よりも少し印象が薄かったのは、
主人公の心理を今一つ掴みきれなかったから
だったろうか。

KENZO一級建築士事務所
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