「最高に良い意味で【中途半端】」ハート・ロッカー Natsukiさんの映画レビュー(感想・評価)
最高に良い意味で【中途半端】
この作品も
『ブレアウィッチプロジェクト』『クローバーフィールド』『スターシップトゥルーパーズ』
『スリーキングス』『第9地区』などなどの
【擬似実録映画】=【モキュメンタリー映画】の1本
ハッキリ言って大好きな作品
【男クサイ】という点で共通する『ハートブルー』と
同じでビグロー作品の中でも最高傑作の1本
いろんな事を考えさせられるテーマだし
いろんな思いがこみ上げてくるけど・・・
戦争や政治や命・・・どれも言葉にするとチープだし
戦場を実際に見てない俺が語るのも嘘クサイかな・・・
なんて事を考えてたら当然何も言えなくなる
そんな作品
映画的な観点から見ると
やっぱり【爆弾モノ】と【テロリスト系】の融合は
とんでもない緊張感がある
そして どのエピソードも
最高に良い意味で【中途半端】
本当に そこが良い
【ある少年の運命】を主人公が【勘違い】するくだりも
説明不足さと【主人公のあっさりした態度】で
一回目の鑑賞時には一瞬混乱して意味が分からなかった
というか そのくだりでは特に【映画的な演出】が
欠けている為に【映画目線】で見てると変な深読みを
してしまい余計に混乱する
そんな場面が何箇所かあったけど 個人的には
【逆にリアル】と思ったんで とても好印象
爆弾解除のシーンでは何度も出てくる【怪しい見物人】も
結局ナゾのまま・・・説明も全くなかったりする
そう それがリアルな戦場・・・
恐らくそれは【モキュメンタリー映画】として自覚して
やっているハズなんで この作品では効果抜群
それくらい映画として【メジャー感】を排除して
リアルさに徹している証拠だろう
その効果があるからこそのラストのスーパーマーケットで感じる
【虚無感】がハンパない
あの場面で主人公と観客が共に感じる
【静けさ】と【安心感】が
ここ最近の映画の中でもズバ抜けてて とても恐ろしい
私もあのスーパーマーケットのシーンにはヤラれました。
「選択肢が極限に絞られた(選択肢など無い)戦場での状況」
と
「商品棚のシリアルの数」
『ありふれた日常』の大切さなんて感じられない。
絶望しかないのに『戦場』にいるときのほうがはるかに「生」を感じる。
無駄な感情も必要な感情さえも無くしていく。
そういう怖さは主人公も感じているけど、後戻りできないのは本当にドラッグと同じ。