正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官のレビュー・感想・評価
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アメリカ合衆国における移民問題を描いた群像劇
🇲🇽幼い息子ホアンを預けて繊維工場で働く若い母ミレヤ・サンチェス
🇧🇩両親とともにバングラデシュからやってきた女子高生タズリマ・ジャハンギルとその家族。弟と妹はUS生まれ
🇰🇷生まれた故郷を離れたくなくて親に反発する少年ヨン・キム
🇦🇺恋人とともに観光ビザで入国し女優としての成功を夢見るクレア・シェパード
🇿🇦クレアとともに永住権の取得を目指して敬虔なユダヤ教徒を演じるギャヴィン・コセフ
🇮🇷ハリソン・フォード演じる移民局の捜査官マックス・ローガンの同僚ハミード・バラエリとその家族
生まれた国やアメリカに渡ってきた経緯、置かれた状況のそれぞれ異なる6組の移民たちと、彼らを取り巻く環境、生きる道を、移民局捜査官の視点も交えて描いた作品。
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「アメリカは移民の国」
「アメリカン・ドリーム」
「自由の国アメリカ」
それらの言葉とは裏腹に、決して自由で開かれているだけではないアメリカの側面を見せている。
移民たちの置かれた立場の苦しさ、グリーンカードの取得が非常に難しいものであることなどはよく伝わってくる。
そしてこれは何も遠い国の問題ではないということを思い出した。
…が、
そもそものスタートが「不法滞在」「不法就労」から展開していくので、どこにシンパシーを向けて良いやら。
不適切な方法でグリーンカードを取得する(あるいは、取得しようとする)例が複数描かれたり、登場人物もやたら多く、焦点が散漫してボヤける印象。
報われない結果にしろハッピーエンドにしろ、過程の描写が物足りなかった。
何故故郷を離れてまでアメリカの永住権に拘るのか、そこのところ掘り下げて描いて欲しかったな。
アメリカの抱える移民問題
ドラマチックに仕上げる事もなく、これが今のアメリカの抱える移民問題だとよくわかる作品でした
メキシコ、韓国、オーストラリア、イスラム系、移民の人達のグリーンカードへの思いは日本でのほほんと暮らす私には想像できないものだと感じました
レイ・リオッタとアリス・イヴとイスラム系の女の子には全く同情できなかったけど、ユダヤ人の歌手には爽やかな気持ちになれました
不法入国者なので当然ではあるけど無情に思えるICE捜査官、厳格なイスラム教の家族の思う恥、韓国人の男の子、とにかく観終わっていろいろ考えさせられました
タイトルが悪い
ICEとはImmigaration and Customs Enforcement不法移民を積極的に取締る機関とのことだそう。映画を見ればまさにアメリカでの不法移民をとりしまる(とっつかまえる?)人たちの話ってことがわかるけど、映画を見るまではなんのこっちゃわかりませんでした。ハリソン・フォードが出てたのですね。これだから深夜映画には拾い物がある。でもハリソンはある意味そんなに出てこない。いろんな不法移民たちの話が平行して描かれて行ってそれぞれの結末になっていく、興味深く面白く見ました。(興味本位ではなく!)ERもそうだけど、話が平行に進んでいく、ストーリー展開は大好きです。それにしてもメキシコ人の女の子(と言っても24歳だそうですが)にだけなぜそんなに思い入れがあったの?ハリソン君?
アメリカという国の裏側を見せられた気がする・・・
移民の国、アメリカ。もともとそうなのに、現在では不法滞在者に困り果てているし、英語ではなくスペイン語しか話せない住民がいるという。そんな国の苦悩が伝わってきたが、問題提起だけで終わっていて、根本的な解決策が見えてこなかったのが、つらいところだ。ただ、取り締まる側が誠意をもって当たれば済むのか? そうではないのでは??? 最近、ハリソン・フォードはあえてこういう社会的な内容の作品に出ている気がする。若い頃のはじけたエンターテインメントに出なくなって、ファンとしてはちょっぴりさびしい。
不自由な国 アメリカ
9.11から年月はたったが、ちょうどアメリカの移民政策の問題をTVでもやっていた。
黒人が大統領になったとしても、もはや、アメリカは自由の国では無くなっている。
この映画のようなことがどのくらい起こっているのかはわからないが、「扉をたたく人」やこの映画などが造られるということは、アメリカに、こういった問題が実在するということなのだろう。
しかし、この捜査官、職務に忠実とはいいがないな。
アメリカのダークサイドを描いています。
ハリソン・フォードが初めて出演した、メジャーではないスタジオの作品。メジャーではないので配給が弱く、日本でもロードショー系の映画館ではあまり上映されないようです。
『バベル』で見られたような、異なる人たちが、同じ時間軸を異なる場所で過ごしていく描き方をしています。そして、その人々の運命は物語の結末に向けて、交差していったり、すれ違って行ったりします。原題の『CROSSING OVER』と言うのも納得です。
ハリソンが今回演じるのは、アメリカ移民税関執行局の捜査官。アメリカでは、様々な連邦政府の法執行機関がありますが、そのうちの一つです。それにしても、彼は歳をとりましたね~。物語中でも、年寄り扱いされています。不法移民を取り締まるのが彼の仕事なのですが、なぜか不法移民に甘い彼。なぜ彼が不法移民に優しいのかと言う理由は明かされません。伏線すらありません。
メジャー系の作品ではないので、有名な俳優はハリソン以外は出ていません。唯一知った顔は、ハミード・バラエリ役のクリフ・カーティス。彼は、決してイスラム系の人ではないんですが、役柄的にはイスラム系民族の役柄が多いですね。今回も、そう言う役柄でした。
9.11以降のテロに怯えるアメリカ、様々な民族を受け入れて拡大していくアメリカ、隣国からの流入不法移民が普通にいるアメリカ・・・。今のアメリカを素直に浮き彫りにしています。いろんなドラマが物語上起こりますが、描いているのは超大国アメリカのダークサイドなので、盛り上がると言う感じではありません。見ていて「それで良いのか、アメリカ?!」と言う気持ちにもなりました。
予想外の面白さ
アメリカの移民問題、、、全然知らなかったのですごくためになりました。
よくあるドキュメンタリー映画のような、重苦しいものでないので2時間があっという間にすぎました。
ハリソンフォードがいい人すぎてビミョーなところがあったのでA+ではなくAにしました。
『扉をたたく人』以上に移民の問題点を浮き彫りにしているものの、エピソードを主役が繋いでいないところが多いに不満です!
本作に期待していたのは、ハリソン・フォードが任務と人情の狭間で苦悩する姿でした。しかし、予想に反してハリソン・フォードが演じる不法就労者を取り締まっている特別捜査官マックスは、いくつかのエピソードのつなぎ役でしかありません。思っていたほど出番も少なく、宣伝とは違う内容にガッカリしました。
マックスは、取り締まの結果母親と生き別れになった、幼い息子をメキシコへわざわざ返しに行くなど人情味のあるところを見せていて、老境を迎えたハリソン・フォードには相応しい役柄ではありました。もっと見せて欲しかったですね。
そして、エピソードのところだけ見れば、アメリカの9.11以降に変質していった移民に対する過度な取り締まりの問題点を浮き彫りにして、衝撃を受けられるかもしれません。 しかしエピソードを主役が繋いでいないのです。先行して公開された同じテーマの『扉をたたく人』と比べると、ドラマとしての完成度の違いを感じさせてくれます。
それでも本作で描かれる移民達の悲劇には、こころが痛みました。
冒頭の二十四歳のメキシコ女性・ミレヤは、自分だけ捕まり子供を置いたまま強制退去に。マックスは彼女の行方を懸命に捜すものの、悲しい結末が待っていました。
女優志望のオーストラリア出身のクレアは、グリーカード欲しさに、移民審査官に体を売ってしまいます。けれどもその結末は儚いものでした。バングラディッシュ出身の少女・ダズリマの場合は、もっと悲惨。熱心なイスラム教徒というだけで、学校で危険人物されて、FBIに強引にテロリストにされてしまうのです。捜査官は、ダズリマに家族全員国外退去になりたくなかったら、テロリストだと認めなさいと。ことの真偽ではなく、捜査上のメンツのために暗に認めろという脅しに近い物でした。
その結果ダズリマは、単身で母国へ強制退去になります。3歳のとくアメリカに来て、アメリカ人として育ったダズリマは母国語を話すことも出来ないのにです。
本作では、『扉をたたく人』以上に、9・11以来のアメリカ社会でイスラム教徒への弾圧と差別の激しさを描いています。しかも移民たちの中で、同じ宗教でもユダヤ教は優遇され、イスラム教は叩かれてしまうところをきちんと押さえています。そんなところは、さすがにアメリカ人の伝統が息づいているなぁと思いました。
「グラン・トリノ」でも移民の問題を取り上げました。だけれど移民してきても、本作のように国籍を持てない人は、もっと悲惨です。そんな人が国籍を持てて、晴れてアメリカ人となれる宣誓式典をどれほど乞い望んでいるか、本作でもマックスの友人のハミードを通じて、切実に描かれていました。
世界中に貧困が有る限り、移民の問題はなくならいでしょう。
そして世界第2位のわが国においても、労働力が不足しているのなら、もっと移民に門戸を開いてあげてもいいのではないでしょうか。
移民問題
アメリカの移民問題がテーマになっています。
メキシコ、韓国、オーストラリアなど、それぞれの国からの移民の立場が、とても丁寧に描かれています。
それもどの移民たちも、非常に厳しい立場で頑張りつつも、アメリカの政策による現実とのギャップが見ごたえあります。
近い将来の日本に当てはめると、考えさせられる映画でした。
欲張りすぎたかな。
★
米国は移民で成り立っている国であるが、
不法滞在者、不法就労者は大きな社会問題である、
ということはよく分かるし、どこまで厳しく取り締まるのか、
あのテロの後でいわれのない疑いをかけられることもあるでしょう。
要領よく、不正に、グリーンカードを求める人もいるでしょう。
それは日本も少子高齢化で、対岸の火事ではないでしょう。
どうなっていくのか、考えさせることではあるものの、
この作品に限っていうと、あれも、これもと取り上げようとして、
消化不良気味で、どれを上手くいかせて、どれを悲しい結末にするかが、
納得いかない部分もあったりする。
そういう不条理さを、やるせなさを感じさせるという意味では、
成功してるのかもしれない。
★
原題crossing over
いろいろな登場人物が複雑に絡み合った群像劇が好きです。グリーンカードって、そんなに魅力的?不法就労者とか、不法滞在問題とか、帰化問題が、いろんな人種を通して描かれていて、目が離せません。
ちょっと消化不良
海外での移民や不法滞在なんかをテーマにした作品です。
アメリカに住むために、いかにして永住権をとるか?その為には自分を捨ててまで様々な事をするのか?はたまた不法入国でそのままなんの地位も保証もないままに低賃金で働いていくのか?
永住権の為には偽装結婚したり、半ば違法な賃金を受け入れその会社に滞在ビザを出してもらう等々・・・
なんでいまさらこの問題を取り上げたのかがいまいち不明
です。結構皆知っている案件だと思っていたのですが?
最近、ボーダーライン(観ていませんが)等不法滞在をネタにした物が多いような気がします。
おまけにハリソンフォードがなんで出なくてはいけなかったのか?が全く不明。そもそも彼の役なんてこの映画では、全く重要度を持っていなかった様な気がするんですが・・・
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