「生きる為だけに許される事、絶対に許されない事。」真夏のオリオン カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)
生きる為だけに許される事、絶対に許されない事。
この映画は戦争だというのに、清々しい。
だが、戦争を美化しないように、配慮もほどこされている。
親友の死、乗組員の死。
追い詰められた究極の局面では、
残酷にも乗組員の死体をおとりに使い、相手の目を欺く。
その際に、自分の一番大事にしていた楽譜も一緒に捨てる。
その楽譜には、
「オリオンよ、愛する人を導け、
帰り道を見失わないように。」
という、愛する人からの言葉が書かれていた。
この言葉が、いとおしい。
この映画の主人公、倉本艦長の志の高い生き方、信念にも感動を覚える。
それが、日本軍が作り出した人間魚雷に対する考え。
これは、爆弾をつんだ魚雷を人間が操縦して敵艦に突っ込んでいくという、
神風特攻隊の魚雷版である。
これを、倉本艦長は最後まで使わない。
「生きるために戦争するんだ、死ぬ為ではない」という言葉は重い。
正しい思想とともに、人間の尊厳を示してくれた、映画だった。
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