「されど親、されど息子。」その土曜日、7時58分 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
されど親、されど息子。
名画座にて。
80歳を超えて、こういう巧作を撮ってしまう精神性にも驚くが、
それにしても救いようのないジレンマに襲われるというか…
いや~もしこれが自分のおかれた状況なら堪らないと思わせる。
出演キャストの生き様どこをどうとっても出口が見つからない。
こちらの精神まで破滅させる?重苦しさが最後まで付き纏う…。
強盗映画といえば、けっこうスリリングで面白いのが傑作だと
勝手に思っていたが、これはぜんぜん違う。確かに、テーマは
強盗というよりも家族の崩壊で、精神も肉体もボロボロなのだ。
頭のいい会計士(使い込みバレるんだからそうでもないか^^;)の
兄が考えたにしては、随分単純でおざなりというか、なんで
また自分の両親が経営する宝石店に狙いをつけるのか不可解。
簡単そうに見えることが実はそうではない。ことを言いたいの
だろうが、果たしてそこまでバカなんだろうか?人間って。
さらにプロを雇うならまだしも(あ、お金ないんだからムリか^^;)
不出来でどうしようもない弟を誘うという…もう、ドツボ状態x
で、またこの弟が違う男を誘ったもんだからああいうことになる。
(あのヒト最近の他作でも殺し屋役で、すぐ死んじゃったよなぁ^^;)
もう、どいつもこいつも観ていて腹が立つほど、ろくでもないのだ。
では、奥さんを失って可哀相なお父さん…。と思えるかというと、
悪いがそうでもない。だいたい近くにいながら息子たちの窮状に
全く気付こうとしない両親にも問題がある。小さいながらも
宝石店を経営し、昔は裏街道(確かではないが)を歩んだ親なら、
気付いて然り…。であって欲しいと私は思う。孫もいるんだしさ。
まぁ長男と父親は昔から確執があったようだが(グラン・トリノ系)
あーもう。このイライラを何とかしてくれ!と思うほど疲れが増幅、
観終える頃にはグッタリしてしまった。私も、M・トメイと同じく
タクシー代をもらって、サッサとその場から立ち去りたくなった。
そのくらい、この作品には力がある。…ヘンな賛辞だな、これ。^^;
(ラストはかの名作と同じでしたねぇ。やっぱ堪らない~((+_+)))