「純愛映画として・・・」パブリック・エネミーズ kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
純愛映画として・・・
銀行襲撃、逮捕、脱走、カーチェイスに銃撃戦・・・
という、この作品の「目玉」は、私にはイマイチ。
大恐慌時代に、汚れたお金を無血で奪って貧しい人たちに配ったのかな?
と思ったらそうでもないし、無差別に人を殺しすぎだし、
鮮やかな犯行に至る伏線部分もわかりづらかったし・・・
むしろ、生涯かけて愛し続けた一人の女性との
「純愛映画」の部分が私には大きかったです。
ビリーに一目ぼれしたデリンジャーは、初対面なのに、
「自分の職業は銀行強盗」だとカムアウト。
いきなり「オレの女」を連発して少々ヒキ気味のビリーに
「俺の好きなもの、
それは野球、映画、高級服、速い車、そして君だ・・」
ジョニー・デップだからサマになるのでしょうが、
なんて痺れるお言葉・・・
「君も連れていく。
刺激的な人生が始まるよ」
デリンジャーが指名手配され、
「殺害も可」と書かれているのをみて、ビリーは恐ろしくなります。
「私は自分がクローク係にもどるのがわかる。
そしてあなたは捕まるか殺されるかだわ」
でもデリンジャーの返事は
「俺は君と年老いて死ぬ。
けっして殺されはしない。」
「俺はどこへも行かない。君もだ」
ビリーはデリンジャーをかくまった容疑で、警察の
人権意識の低い捜査官に手荒く取り調べられるんだけれど、
「私が酷い目にあわされた事をデリンジャーが知ったら
あんたはタダじゃすまないんだからね」
なんて啖呵を切っちゃうんです。
居場所を通報して自分だけ助かっちゃうアンナと違って
黙秘を貫いたビリーは実刑をくらっちゃうのですが、
「デリンジャーの女」だったら、そうでなきゃね!!
拍手したい気持ちでした。
そして最後にビリーに残したメッセージ
「バイバイ、ブラックバード」
この言葉の意味は、ビリーにしか分からないのかもしれませんが、
意味がどうこうというより、
息をひきとる最後に自分を思って残してくれた言葉。
もう一言を胸にいだいて、一生、生きていけるような気がします。
強盗犯を愛した女性の気持ちなんてわかりっこない
と思っていたのですが・・・
ああ、これもジョニデのお力なのでしょうか