「SFか徹底したドタバタ喜劇か、もって狙いを絞り込んだほうがいいと思います。 くれぐれも「恐竜映画」ではないので、ご注意を!!」マーシャル博士の恐竜ランド 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
SFか徹底したドタバタ喜劇か、もって狙いを絞り込んだほうがいいと思います。 くれぐれも「恐竜映画」ではないので、ご注意を!!
タイムマシーン、異次元空間、恐竜・古代生物、宇宙人などSFの要素がてんこ盛りになって描かれる楽しい作品。きっと子供なら喜ぶでしょう。
でもそこは、「俺たち~」シリーズで知られるウィル・フェレルが主演しているだけに、基本はドタバタギャグ。ありえねぇ~と叫びたくなるようなナンセンスギャグもふんだんに盛り込まれていて、てっきり恐竜映画と思って見に来た人は面食らうことになります。
なかでもヘンなのが、恐竜のTレックス“グランビー”(名前まで付いている!)。彼は人の言葉を理解して、恐竜のメンツを立てるためにマーシャルを追いかけるのです。
それなのに、ラストではあることを通じて、マーシャルの親友になってしまうのは、どうしても解せませんねぇ。“グランビー”の勝手でしょという感じです。
そしてマーシャルたちが迷い込む世界も変なところ。一見して恐竜の襲われるところから古代にタイムワープしているかのようにみえて、現代のファーストフード店やコンビニとか車とかが砂漠の中に捨てられている(UFOの円盤まである)という、全くいつの時代か計り知れない異次元世界なのです。まるで遊園地のアトラクションのようなところでした。
この異次元世界で、マーシャルが類人猿のチャカを助けたことで、チャカもメンバーに参加します。
チャカは人の言葉というか現代用語やシモネタにまで通じているおませなお猿さん。あるときはサルになりきって、何言われても分からない風に惚けているのに、自分の悪口を言われたときは急に人並み変わって、怒りだすお調子者でした。
チャカのセリフは、日本語版がお勧め。翻訳者がふざけてあり得ないセリフを連発しています。ロッテリアの絶品ハンバーグとか、日本人しか分からないシモネタのお下劣な雄叫びか入っていたり、とてもハリウッド版ではあり得ないセリフがおかしかったです。
マーシャルたちの旅の目的は、タイムマシンを見つけ出し、元の世界に戻ることでしたが、旅の途中で知り合ったトカゲのような宇宙人スリースタックのザッダーン博士が宇宙征服を企んでいると知って、阻止に乗り出すというのが後半のお話し。恐竜から宇宙戦争に発展するなど忙しいストーリー展開です。まぁ深く考えずに笑い飛ばすのに限りますね。
とどめは、マーシャルたちが巨大ガニに襲われるところ。襲われそうになった瞬間、温泉が噴き出し、巨大ガニはなんとゆでガニになって、マーシャルたちの空腹を満たしました。このシーンは笑っちゃいました。
恐竜や背景は、本格的なCGを使って大変リアルな仕上がり。それがこの何とも言えないドタバタ喜劇とはミスマッチなんですね。SFか、はたまた徹底したドタバタ喜劇か、もっと狙いを絞り込んだほうがいいと思います。
くれぐれも恐竜映画ではないので、ご注意を!!
なおエンディングロール後にも映像がありますので、席を立たないでください。