「そつのない良作」ノウイング かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
そつのない良作
自ブログから抜粋で。
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とまあ、およそ思いつく限りの具を詰め込んだ幕の内弁当かのようなサービスぶり。
しいて足りないエッセンスを挙げるとしたら、お笑いのゴマふりかけとお色気のフレンチドレッシングか。
でもまあ、詰め込んだ割には盛りつけがうまいようで、破綻なく最後まで楽しめた。
最初に運命的な決定論と偶然でしかあり得ない非決定論の講義をもってくるとか、ジョン親子のつながりを示した伏線の張り方とか、よく考えてあると思う。
旅客機の墜落シーンなどの撮影技術も、ほんの数年前なら度肝を抜かれていただろう素晴らし出来栄え。
未曾有の大惨事を描くディザスターもので、へたに個人的な親子愛に注力されるとシラけることも少なくないのだが、その点でも合格点をあげられる。
これは数字の謎を解いていくというミステリー仕立てにして、ほとんどの人は災害が近いことを知らずに巻き込まれる構成にしたのがよかったのだろう。
いよいよ最後の大惨事が間近となっても、ちゃんと親子愛が物語のキーとなって、「この大変なときになにやってんだ」というような違和感がない。
そしてその決着のつけ方も、全編を通してテーマが貫かれているので大いに納得がいく。
この作品で唯一余計だと感じたのは、親子に近づく謎の男たち。これはちょっとサービス過剰だった。
まあ、彼らを早めに出さなくちゃ最後が唐突になることは想像に難くないのだが、だとしてもあんなスリラータッチにすることはなかったんじゃないかな。
彼らは“ノウイング(knowing=知っている)”に基づいて行動しているはずで、不審な振る舞いをするのはちょっとおかしい。
総じてよく推敲されたそつのない脚本なんだが、ちゃんとしているがゆえに、ルシンダはどうして“その時”が来るまで待てなかったのか、どうして “EE”の答えが“あそこ”に書かれていたのか、道しるべ的なものかと思っていた小石がなぜクライマックスの電話の上に置かれたのか、という細かい点が疑問に残った。
なにかしら裏設定があるのかもしれないが、おそらくは演出過剰の蛇足なんだろう。
ラストの落としどころは賛否両論ありそうだが、個人的にはアリ。
SFを突き詰めると宗教的になるというのは、過去の作品にいくらでも前例があるのだし、自分としても嫌いじゃない。
この映画を誰かと一緒に観たなら大いに語り合えばいい。
この映画のキャッチコピー「その時、人類は何を残せるのだろうか。」ではないが、この映画はただ面白い、面白くないだけでなく、いろいろな意味で語り合う余地のある作品になっていると思う。
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全文はブログにて。