劇場公開日 2009年2月28日

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「 ニコール・キッドマンが主演しているだけで、これぞハリウッド映画という気分にさせてくれます。ただ構成には疑問有り。エピソードが細切れで、連続ドラマを見ているようでした。」オーストラリア 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 ニコール・キッドマンが主演しているだけで、これぞハリウッド映画という気分にさせてくれます。ただ構成には疑問有り。エピソードが細切れで、連続ドラマを見ているようでした。

2009年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ニコール・キッドマンが主演しているだけで、これぞハリウッド映画という気分にさせてくれます。しかも今回はヒュー・ジャックマンとのラブシーンがあって、女性の映画好きの人なら、二人のキスシーンを見ているだけで、夢心地になるでしょう。
 また馬にまたがって、牛追いをするシーンもあり、彼女の気の強さ、男勝りな一面を伺いさせてくれました。

 オーストラリアの内地の雄大な景色。インディアンに似たアボリジニの登場するなど西部劇に似ていて、もっとスケールの広さを感じさせてくれました。

 ただ何本も映画を見ている人なら、この作品の構成には疑問が残ると思いますよ。だって、エピソードが細切れで、連続ドラマを見ているみたいなんです。

 その細切れなドラマの中でよかったのは、第2回目の「牛追い」。主人公のサラを含むわずか5名の素人集団たちは、1500頭もの牛を追い込んでいく9000キロも横断する旅出かけます。しかも、途中もと使用人であったフレッチャーはサラを裏切り、牛を全滅させる妨害工作を受けてしまうのです。
 彼は、商売敵の食肉王カーニーに寝返ったいたのでした。フレッチャーは、崖上の休むサラの牛たちに炎で仕掛けて、崖下に追い落とそうしました。
 暴走する牛たちを間一髪止めてしまう混血の少年ナラの活躍が見事でした。

 この話で終われば充分なのに、話はだらだら続いていきます。第3回目に相当するサラと無骨なカウボーイ、ドローヴァーとの恋愛編では、ドローヴァーの変身ぶりが見物です。

 最終回に登場してくる日本軍の攻撃編では、伝道島の孤児院で罪のない子供たちが爆撃を受けるところが、日本人としてちょっと痛いところでした。

 突っ込みどころは満載です。ナラ親子は、犯罪を犯したわけでは無いのに、何で警察から逃げ回るのか。だいたいそんなに深さのない水槽でナラの母が溺死してしまうのは疑問です。そこまでして警察から逃げなければいけないの?と思いました?
 その後ナラは、サラが引き取って普通に暮らしていたのに、戦争による疎開が始まると突如、ナラの隔離問題が再浮上し、保護者であるサラの抗議も無視して教会が強引にナラを離島の孤児院に収容してしまうのです。背景には、人種政策があったようなのですが、養子にして養育している子供まで強制収容するのか疑問です。

 あとサラとドローヴァーのくっついたり、離れたりも、なんかご都合主義だなぁと感じました。
 それぞれのシーンではいいのですが、全体をつないでみたときすごい違和感を感じます。とてもタイトルに歌う涙で癒される試写会ではなかったです。
 純粋なアボリジニであるナラのお祖父さんを狂言まわしに傍観させるだけでなく、もっと物語に絡まさせれば、オーストラリアの持つ神秘性が出てきたのかもしれませんね。

流山の小地蔵