「せっかくの作品が・・・」オーストラリア マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
せっかくの作品が・・・
この映画、「風と共に去りぬ」みたいな作品だと思って観たら失敗する。たしかに“タラ”のように領地“ファラウェイ・ダウンズ”をホームとし、帰る場所があることの大切さを謳ってはいるが、第二次世界大戦突入はスケールを大きくする味付けに過ぎず、むしろ流れとしては「大いなる西部」に近い西部劇だ。映像も抒情詩的などと先入観を持たないほうがいい。CGをたっぷり使った現代的な描写だ。(日本軍による爆撃シーンは見ていて辛いが・・・)
それでも単なるラブ・ロマンスもので終わらなかったのは、先住民アボリジニの少年ナラ(ブランドン・ウォルターズ)の存在。この少年、目元が魅力的だ。たしかに激動の時代の中でサラという女性が力強く成長し変化していく物語ではあるが、少年の目線でサラとの出会いから成人の旅立ちの儀式“ウォークアバウト”の時期を迎えるまでを描いた作品だと思った方がしっくりくる。
フレッチャー役デビッド・ウェンハムの悪役ぶりがよく、前半は久々にお茶目で明るいニコール・キッドマンで楽しめる。1500頭の牛の暴走も迫力がある。そして、時代の流れと変化を、街の酒場でのやりとりによって表現する演出が面白い。
せっかく面白い作品なのに、要は宣伝方法が間違ってる。
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