劇場公開日 2008年12月20日

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「100点でありながら同時に0点」ファニーゲームU.S.A. ちかしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5100点でありながら同時に0点

2015年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

難しい

「ファニーゲーム」を観ずに、リメイクを鑑賞。ただ内容としては全く同じのよう。
どれほど監督が意識したかは別とし、この映画はテーマとしては満点をあげていいほどの素晴らしい内容、しかしそれを表現した以上不快感しか残らないため、観て楽しいという観点で言えばゼロをあげてもいい出来です。これを公開当時PGで出したという日本の映倫はどうかしている(苦笑)
理由もわからずひとりひとり殺されていく、そんなパニックを想像していたのですが、全然違いました。ただただ理不尽な暴力にさらされていく一家。これは、現実なのです。悪いヤツをぶっ殺してスカッとするアクション映画に慣れている人々。そしてその中で偶然爆発に巻き込まれた名もないエキストラたちには興味も示さず、主人公が「敵」を倒して無事に終わればハッピーエンド。その「敵」にも命や家族、正義があるにも関わらず。これは、そういった麻痺した観客に現実を思い出させる傑作です。実際の暴力にはそんな明確な理由がない場合も多い。こんな残忍な事件も現実でも実際に起こっている。
そしてラスト、犯人たちが語る「虚構の世界だってそれを観ることができるのだから現実だ。」という趣旨の会話。この映画は、虚構などではない、そう言っているようにしか見えないです。そして、Funny Gamesなんです、ゲームではないんです。

ちかし